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「尖閣諸島は中国に所属」、捏造教育指示で論争


ニュース 社会 作成日:2011年9月1日_記事番号:T00032261

「尖閣諸島は中国に所属」、捏造教育指示で論争

 教育部が台湾全土の小中学校に対し、国家安全会議(国安会)の意見書に基づき、新学期から「尖閣諸島(台湾名・釣魚台)は古来より中国に帰属する」と教えるよう通達を出したことで、争議が起きている。

 尖閣諸島問題は、中国や台湾が領有権を主張し、「この領域に領有権の問題は存在しない」とする日本との間で摩擦を繰り返しているのは、周知の事実。台湾でもデリケートな議題だが、教科書の中では政府の見解が定まっていない。

 教育部によると、意見書は国安会が5月に立案したもの。これを受けて6月に外交部が、小中学生の尖閣諸島に対する認識をいかに高めるかを検討。7月に教育部が全土の小中学校へ通達した。授業で尖閣諸島と台湾の関係を教える際の参考にするよう命じた。

 これに対し、保護者組織である全国家長団体聯盟の謝国清理事長は、尖閣諸島問題に関しては台湾内でもさまざまな意見があると指摘した。教育の場にイデオロギーを持ち込まないよう呼び掛けている。

 全国教師会の呉忠泰秘書長は、教育部に一方的に小中学校に通達させた今回の国安会の独断的な手法を批判。まず、国民中小学課程綱要審議委員会に対応を託すか、または教育団体を招聘して協議すべきだったと述べている。

 台湾大学法律系(法学部)の姜皇池教授は、国安会の意見書は国際法上極めて大きなリスクを持つとコメント。なぜなら、台湾は事実上も法律上も中国を代表することはできないため、台湾と尖閣諸島がともに中国の領土であると主張していることになるからだ。

 管碧玲・立法委員(民進党)は、戒厳令時代の洗脳教育に戻ることを危惧(きぐ)している。教育部は国安会に指揮され、特定のイデオロギーを学生に植え付けると批判しているほか、蔡煌瑯・立法委員(民進党)も、小中学生に中国との共同戦線を呼びかけるのかと、国安会と外交部に批判的だ。