ニュース 電子 作成日:2011年9月1日_記事番号:T00032289
ノートパソコンが世界的な販売不振に見舞われる中、受託生産大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は31日、今年出荷目標を累計23.6%下方修正したものの、来年は業界平均が横ばいであっても「当社は2割成長する」と自信を示した。低価格受注で参入したEMS(電子機器受託生産サービス)が勢力を弱めて値下げ競争が収束し、来年は粗利益率が改善するとして、「ノートPCは斜陽産業でない」と強調した。1日付工商時報などが報じた。
証券会社によるとコンパルの自信の根拠には、ブランドメーカーの2013年発注計画の大部分が固まり、デルの6~7割に当たる年間1,200万~1,300万台の受注を確保したことや、聯想集団(レノボ)全体の2割以上の受注も得られる見通しであること、さらに宏碁(エイサー)の経営体質改善が出荷増に貢献するとみられることがある。
エイサーの巨額赤字や、ヒューレット・パッカード(HP)のノートPC部門分離検討などが驚きをもって伝えられる中、陳総経理は、ノートPC業界はブランドも受託業者も淘汰の方向に進むと予測。受託業界ではシンガポールのEMS大手、フレクストロニクス・インターナショナルの撤退などにより値下げ競争が緩和しており、来年の見積依頼書(RFQ)のオファー価格を見ると産業の健全化が読み取れると指摘した。
プロセッサ多様化、ODM有利に
また陳総経理は、インテルの独壇場だったプロセッサ市場にエヌビディア、テキサス・インスツルメンツ(TI)、クアルコムが加わり、ARM対応ウィンドウズからグーグル「アンドロイド」まで多様化するプラットフォームの管理力がますます問われる中、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)の重要性が高まると指摘した。
各プラットフォームの研究開発(R&D)を求める顧客に応じるため、コンパルは今年6月までにエンジニアを350人採用し、年内にさらに650人を募集する予定だ。また、中国の重慶工場が11~12月から月産40万~50万台で稼動し、成都工場も11月に生産を開始する予定だ。既存の昆山工場も来年、生産能力を大幅に引き上げる。今後は複雑な製品ラインアップや、人件費などコストの管理が課題となる見通しだ。
ノート需要、年内は悲観
なお、コンパルは下半期のハイシーズンが振るわないとの見方から、11年のノートPC出荷目標を初のマイナス成長となる4,200万台に設定し直した。従来目標5,500万台から前年同水準の4,800万台に引き下げた4月に続く今年2回目の下方修正だ。
陳総経理は、下方修正のうち500万台は低価格ノートPC(ネットブック)で、タブレット型PCも従来予測も380万台から300万台に引き下げたものの、一般のノートPCはそれほど変わらないと説明した。現在の状況からみて、8月から弱まった需要は年内は強まらず、第3四半期出荷は前期と横ばいとなり、下半期は上半期と同水準にとどまるとの予測を示した。
コンパルが31日発表した第2四半期連結売上高は前期比3.1%増、前年同期比22.3%減の1,763億6,500万台湾元(約4,700億円)、純利益は前期比6.21%減、前年同期比49.04%減の32億8,000万元だった。上半期連結売上高は前年同期比24%減の3,474億4,000万元、純利益は同56%減の65億8,100万元となった。
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