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倒産2年後に「臨時収入」、義理堅い元董事長が解雇手当


ニュース 社会 作成日:2011年9月2日_記事番号:T00032291

倒産2年後に「臨時収入」、義理堅い元董事長が解雇手当

 世の中、会社が倒産し、社長が逃げてしまうケースはごまんとある。当然、従業員の給料や退職金は未払いのままになることがほとんどで、従業員は泣き寝入りするしかない。

 ところが、会社倒産2年後に、未払いだった解雇手当を従業員に支給した社長がいる。そんなことがあるのかと誰もが疑うだろうが、実際にあった話だ。

 1984年設立の川石光電科技(彰化県田中鎮)は、フィリップスや日立、オスラムなどの受託生産を手掛ける省エネ電球の大手メーカーだった。ところが09年6月、投資の失敗と世界的な金融危機の影響から不渡りを出して突然倒産。給与の未払いはなかったが、従業員への1カ月分の解雇手当、約1,600万台湾元が足りなかった。

 当時、葉昭欽董事長は従業員に対し、必ず支給するので待ってほしいと懇願したが、従業員との協議は決裂。葉社長は再起を狙い、利益の出ていた上海工場の陣頭指揮を執るため中国へ渡ったものの、従業員から訴えられたため、台湾に一度戻れば出境停止処分に遭う恐れがあり、帰るに帰れなくなってしまった。

 しかし、社長は従業員との約束を忘れず、息子の葉琮凱さんに土地などの個人資産を処分してかき集めた3,800万元を託した。元従業員161人分の解雇手当だった。

 最高額の58万元余りの解雇手当を受け取った元従業員の男性は、「びっくりした。これは天からの贈り物だ」と大喜び。長く勤めていた元従業員は「社長は面倒見がよく、悪意の倒産ではないとずっと信じていた」と感動もひとしおだった。

 息子に「なぜこんなことをするのか?」と聞かれた葉社長は、「これは従業員が受け取って当然のお金だから」と答えたそうだ。台湾にいる高齢の両親のことを気に掛け、家族が人に後ろ指を指されず、堂々と暮らせるようにとの思いもあったことだろう。従業員との約束を守った義理堅い社長の話は、後々まで伝えられるに違いない。