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「TPP参加10年内に」、馬総統表明


ニュース その他分野 作成日:2011年9月30日_記事番号:T00032873

「TPP参加10年内に」、馬総統表明

 馬英九総統は29日、総統選に向けた「黄金十年、国家願景」(黄金の10年、国家ビジョン)と題するマニフェスト(政権公約)のうち「活力経済編」を発表、「今後10年以内に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を目指す」と表明した。まず自由経済モデル地区を設定し、外国人による投資を含む、投資・貿易に関する規制を緩和する方針だ。ただ30日付工商時報は、同様の構想は前回総統選の際に既に示されており、本来は現任期中に着手すべきだと注文を付けた。


馬総統のマニフェストは今後、「社会正義」「永続環境」「中台平和」などをテーマに全8項目が発表される予定だ(29日=中央社)

 この日、呉敦義行政院長、施顔祥経済部長など重要閣僚を伴って政策説明会を開催した馬総統は、「リソースが乏しく貿易への依存度が高い台湾経済は、世界経済と連携することが必須で、開放は避けて通れない道だ」と強調した。その上で「貿易のライバルであるシンガポール、香港、韓国が台湾よりさらに開放を進める中、われわれに猶予が残されているだろうか」と訴えた。

仁川・済州島をモデルに

 TPPへについては、非常に質の高い自由貿易協定(FTA)だとし、台湾が開放を進めることを今後の重要目標と位置づけた。ただ、現時点で台湾は十分な準備は 整っていないとし て、10年間を努力目標に設定した。

 TPP参加に先行して計画している自由経済モデル地区について施経済部長は、韓国・仁川および済州島の経済自由区域をモデルとするとの考えを示し、輸出加工区からの転換や自由貿易港区をさらに拡大することを検討していると説明した。

 モデル地区内では外国人による投資や技術革新、ホワイトカラー人材の招へいに関する規制を含め緩和を進める方針だが、労働集約型産業への回帰することはないとの立場から、中国人を含むブルーカラー外国人労働者のさらなる開放は行わない考えだ。また、中国人ホワイトカラー人材については、「検討中」と語るにとどめた。中国の農産品に対する規制も継続する方針だ。

行動こそ重要

 馬総統のマニフェスト「黄金十年」は、民進党の総統候補、蔡英文主席が先月打ち出した「十年政綱」に約1カ月遅れでの発表となった。工商時報は、「両岸(中台)関係もおぼつかない民進党にはTPP参加など夢のまた夢だが、国民党にとっても北京の了解が必要で簡単な任務ではない」と指摘。また、マニフェストの中で「主軸」として掲げた、経済の開放、ハイテク技術革新、就業促進、物価の安定などは、「現行政策を言葉を変えて言い直しただけだ」と批判した。

 その上で、馬政権となって3年余り、外国人による投資やホワイトカラー人材の台湾における就業に規制が多いことについて毎年のように欧米企業から要求が出されながら、開放は全く進んでいないとし、「スローガンではなく行動こそ重要だ」と提言した。