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蔡英文主席、日本との連携強化に意欲


ニュース 政治 作成日:2011年10月4日_記事番号:T00032934

蔡英文主席、日本との連携強化に意欲

 総統選の野党・民進党候補である蔡英文・同党主席が3日訪日し、勃興する中国に対し、日本と安全保障や経済統合、民主主義の発展などのテーマで協力していきたいとの意向を表明した。また、将来のアジア太平洋地域の自由貿易地域確立を視野に、日台間で自由貿易協定(FTA)の締結を目指したいとの考えも示した。4日付中国時報などが報じた。


蔡主席は羽田空港で在日台湾人支持者の熱烈な歓迎を受けた(3日=中央社)

 日本との関係を重視する有権者が多い台湾では、総統選の候補者が選挙活動の一環として訪日するのが恒例となっており、前回2008年の総統選でも国民党の馬英九候補(現総統)、民進党の謝長廷候補がともに来日し、政界の要人と会談した。最高指導者の候補者が選挙戦で訪日し、関係の維持・発展をアピールするのは世界で台湾だけだ。

 蔡主席は東京都内のホテルで行った講演で、「来年民進党が政権を奪回した後、前政権(陳水扁政権)時の緊密な台日関係を継続したい」と表明した。3月の東日本大震災で、民進党が募金を募って2億台湾元(約5億円)が集まり、同等の政治活動の募金よりも金額が大きく集まったスピードも速かったエピソードを紹介しつつ、「台日関係は昔から非常に密接で、馬英九政権はやや日本と疎遠だが、それでも双方の関係は政権交代に関係なく蓄積されている。それが台湾社会の日本への真心なのだ」と強調した。

 その上で、日本とのFTA締結を目指す意向を表明。台湾が尖閣諸島(沖縄県)の領有権を主張している問題については、日本の大手メディアに対して「釣魚台(尖閣の台湾名)は台湾の領土だが、平和的かつ理性的な手段で対応することを希望している。最も重要なのは、台日間のコミュニケーションと相互信頼だ」と述べた。また、尖閣の問題で中国と連携することはあり得ないと語った。

対中関係「台湾の共通認識必要」

 対中関係について蔡主席は、「現在の両岸(中台)関係は国民党と中国との間の秘密交渉に基づいており、まず台湾内部において党派を超えた共通認識が必要だ」と指摘。そして、民進党は今後の対中関係であらゆる可能性を排除しないが、台湾の民意は統一でも独立でもない「現状維持」であり、再度の政権交代となっても中国は心配する必要はないと述べた。さらに、中国との交流は国際的枠組みを重視しつつ行いたいと語りつつ、日米安全保障条約をその枠組みの一つとして挙げ、「日米との関係強化を重視したい」と表明した。

選挙戦「激しい競争に」

 選挙戦の見通しについては、非常に激しい競争となり票差も近接するとの見方を示しつつ、「政策を主体とした理性的な選挙戦を期している」と語った。

 蔡主席の講演会場は、400個以上のいすがすべて満席になる盛況となった。評論家の岡崎久彦氏や櫻井よしこ氏ら著名人も訪れ、櫻井氏は「蔡主席が『1992年の共通認識(92共識)』を承認しないのは非常に正しい。台湾は中国の一部ではない。来年、馬英九氏を打ち負かすことを心から希望する」とあいさつした。