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iPhone 4S、台湾消費者に失望感


ニュース 電子 作成日:2011年10月6日_記事番号:T00032993

iPhone 4S、台湾消費者に失望感

 アップルが米国時間4日に発表した、スマートフォン新製品「iPhone4S」の台湾発売は、早ければ11月末となりそうだ。ただ、6日付聯合報などによると、発表製品が長らくうわさされていた「iPhone5」ではなく、現行機種とデザインもほぼ同じの小幅なモデルチェンジ版だったことを受け、台湾の消費者の間では「性能に大きな変化はない」、「過去数年で最もつまらない発表会だった」など失望感が広がっている。

アップル「iPhone4S」(同社提供)

 台湾の通信大手3社によると、「iPhone4S」は14日にまず米国、日本など7カ国で発売され、その後28日にシンガポールなど22カ国に投入されるが、台湾での発売は第3陣に含まれ、早ければ11月末となるが、12月の可能性が最も高いという。

 iPhoneの次世代機種については台湾のネット上などでも、大幅にモデルチェンジした「iPhone5」が発売されるとの前提で、「ディスプレイが大きくなる」「水滴型のデザインになる」などといったうわさが流れていた。しかし今回発表された「iPhone4S」はデザインに大幅な変更はなく、しかも新たに加わった注目機能の一つで「Siri(シリ)」と呼ばれる音声ガイド機能も、当面は中国語をサポートしないことが分かり、台湾発売に先駆けて米国からの並行輸入を検討していた消費者も二の足を踏んでいるもようだ。

アップル対HTC、「勝者はいない」

 なお、iPhone4Sが小幅な変更にとどまったことで、ライバルの宏達国際電子(HTC)にプラスに働くとの見方も出ているが、証券業界の反応は「勝者はいない」といったものだ。

 花旗環球証券(シティグループ・グローバル・マーケッツ)は、iPhone5が来年前半のうちに発表されなければ、また、発売されたとしても「サプライズ度」が小さければ、HTCの来年下半期の業績にプラス効果をもたらすとの見方だ。

 一方、JPモルガン証券は、欧米、日本、オーストラリア市場でスマートフォン普及率が5割に達し、ハイエンド機種が飽和状態になる中、アップル以外にサムスン電子も勢力を拡大しており、HTCにとって厳しい状況と指摘している。

 またマッコーリーキャピタル証券は、iPhone4Sが注力するクラウドコンピューティング機能、低価格、新販路拡大がアンドロイド陣営にとって大きな圧力になると分析した。

サプライヤーの利益、さらに圧迫も

 iPhone4Sは、搭載デジタルカメラが500万画素から800万画素にアップグレードされ、中央処理装置(CPU)の処理速度も倍増するなど、基本機能は大幅に上昇している。このため、アップルにデジカメレンズを供給する大立光電(ラーガン・プレシジョン)が最大の恩恵を受けるとみられている。

 しかし、iPhone4Sの米国での価格は、16G版が199米ドル、32G版が299米ドル、64G版が399米ドルとなっているが、特に32G版はiPhone4発売時と同水準となるなど、不自然な低価格が業界に驚きを与えている。これについて電子時報などは、部品サプライヤーにさらなる供給価格の引き下げが求められて、利益率がより低下する恐れがあると指摘している。

iPhone5発売は来春?

 今回のiPhone4S発表を受けて、iPhone5への期待感がかえって高まった面がある。コンピューター・ハードウエアのオンラインメディア「アナンドテック」によると、米クアルコムが来年第2四半期に音声通話機能に対応したLTE(ロング・ターム・エボリューション)チップ「MDM9615」の発売を予定しており、その時点でLTE対応のiPhone5が市場に投入されると予測している。 

 
スティーブ・ジョブズ前CEO(最高経営責任者)の死去を受けて、台湾のアップルHPトップ画面も追悼ページに差し替わった(同社より)