ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

中華民国100年、馬総統が存在直視呼びかけ


ニュース 政治 作成日:2011年10月11日_記事番号:T00033051

中華民国100年、馬総統が存在直視呼びかけ

 辛亥革命によって清朝を倒して誕生した中華民国の建国100年を祝う双十節の式典が10日、台北市の総統府前で開かれた。孫文の願いだったとして統一をアピールした中国に対し、馬英九総統は中華民国の存在を直視するよう呼びかけた。一方、野党民進党は「辛亥革命は両岸(中台)共同の歴史資産」と評価した馬総統を批判するなど、三者三様の双十節となった。


馬総統は式典で、「台湾の発展に両岸の平和は必要条件」と述べ、平和的関係の制度化に向けて努力する考えを示した(10日=中央社)

 馬英九総統の式辞で、「中華民国は過去のものではなく現在進行形だ」と強調した。また、辛亥革命を「両岸共同の記憶と資産」と位置付け、「大陸(中国)は双十節を祝う際、国父・孫文の自由、民主、均富の建国の理想を忘れてはならず、大陸がこの方向に進んでこそ両岸の距離を縮めることができる」と強調した。

 中華民国と台湾の関係について馬総統は、「中華民国はわれわれの国家であり、台湾はわれわれの故郷だ」と述べ、「中華民国が抗日戦争で2,000万人軍民の生命を犠牲にした結果、台湾は日本の植民統治を終わらせて中華民国の版図に戻った。これがなかったら中華民国は内戦で敗北した60数年前に滅んでいた可能性が高く、海峡両岸が異なる発展を遂げることもなかった」と意義を評価した。

中国、統一を強調

 馬総統の発言は、辛亥革命をめぐる中国政府、および総統選の対抗候補、野党・民進党の蔡英文主席の発言に対する反論の意図がある。

 中国の胡錦濤国家主席は9日北京で開催した辛亥革命100年の記念式典で、「統一は中国人全国民の希望だ」と孫文が語っていたとして、「平和的統一が台湾同胞を含む全中国人の根本利益に最も合致する」と従来の立場を強調。台湾独立への反対と「1992年の共通認識(92共識)」を政治的基礎として、中台間の交流を進めていく考えを改めて表明した。

 なお、胡主席は「中華民国」については一言も触れなかった。台湾は今回、双十節で軍事パレードも行っており、中国と一歩距離を置く立場を示したものとみられる。

蔡主席「台湾は中華民国」

 一方、蔡主席は、双十節に先立って「台湾は中華民国である」との談話を発表し、中華民国は既に台湾と融合し、外来の亡命政権ではないという考えを初めて表明した。馬総統が台湾を中華民国100年の歴史の一部として位置付けているのに対し、蔡主席は、中華民国が戦後台湾に渡ってきて、独裁政権から民主体制に変化して「今日では台湾自身の政府になった」という認識だ。


蔡主席(左2)は中央政府とは別に、台南市政府主催の国旗掲揚式に参加した(10日=中央社)

 双十節の式典後、蔡主席は「辛亥革命は両岸共同の歴史・資産という馬総統の発言は、辛亥革命と92共識を台湾の国家アイデンティティーにしようとする意図ではないか」と疑念を示し、「台湾の国家アイデンティティーは土地と人民に依拠しており、辛亥革命ではない」と指摘した。

 民進党の陳其邁広報担当は、「台湾の復帰がなければ中華民国は60年前に終わり、再生の機会はなかった」などの馬総統の発言は、台湾を「一つの中国」の枠組みに結びつけるもので、台湾の主権にとって非常に危険だと批判した。