ニュース 政治 作成日:2011年10月18日_記事番号:T00033198
馬英九総統は17日、総統選のマニフェスト(政権公約)である「黄金十年、国家願景」(黄金の10年、国家ビジョン)の両岸政策篇として、中国との間で平和協定を締結する構想を発表した。中台関係で「平和と共栄」の枠組みを制度化する狙いだが、「一つの中国」での政治的合意も意味するため、野党からは「統一へのレールを敷くもの」と激しい反発が出ている。総統選での大きな論点となりそうだ。
平和協定構想を打ち出した馬総統。過去3年間の対中政策が肯定的評価を受けてきたとの自信の表れでもある(17日=中央社)
馬総統は記者会見で、「今後の10年間で両岸関係が改善する中、平和協定を結ぶかどうか慎重に検討したい」との言い回しで構想を発表した。締結に当たっては、民意の支持、(台湾の)国家としての必要性があること、立法院による監督の3点が原則だと説明した。
「黄金十年」に盛り込んだ理由については、「盛り込まない場合は10年間取り組まない印象を与え良くない」と語った。締結の時期については、「決まっておらず、条件が成熟したかどうかで判断する」とした。
馬総統はまた、中台が相互に代表事務所を設置する構想にも触れ、「交流を制度化することで、両岸の事務への対応がさらにうまくいくようになる」と説明した。
18日付聯合報は平和協定の意義について、「台湾独立を排除し、平和的発展を基調に『統一せず、独立せず、武力行使せず』を法制化、固定化することだ」と指摘した。台湾側には中国による統一圧力と統一・独立論争による社会的消耗を軽減でき、中国側には台湾が独立に傾く懸念が解消するメリットがある。
なお、現在中台はいわゆる「1992年の共通認識(92共識)」の立場で一致しているが、国民党政権にとっての「92共識」は「一つの中国、それぞれの解釈」で「それぞれの解釈」に重点が置かれている一方、中国にとっての「92共識」はあくまでも「一つの中国」であり、中華民国総統と中華人民共和国国家主席との間で平和協定が結ばれる場合、台湾の「それぞれの解釈」と中国の「一つの中国」のどちらが前提になるのかは重要な問題となる。
中台平和協定の構想に対し、野党・民進党は「台湾人民は馬氏に中国との政治協定や統一を行う権力を与えていない。住民の合意のない台湾にとっての『統一スケジュール表』である平和協定を、マニフェストに入れることは許されない」と強く批判した。また、台湾団結聯盟(台聯)の黄昆輝主席も、「本質は最終統一協定だ。台湾にとっての『投降協定』になるのではないか」と非難した。
中国資本の台湾投資、さらに開放
2期目の中国との経済交流について馬総統は、中国資本による対台湾投資のさらなる開放と、金融業務の交流における規制緩和を進めることを挙げた。18日付経済日報によると、中国側は台湾の公共工事や建設業への参入、液晶パネルや半導体企業への出資比率緩和を求めているとされ、経済部が現在策定している中国資本に対する第3次開放の内容が注目される。
金融業務では台湾元と人民元の決済メカニズム策定という重要な課題があるが、双方の政治的主権に絡むため、台湾側の関係者は「1年以内に成果を出すことは困難だ」と説明した。
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