ニュース 運輸 作成日:2011年10月25日_記事番号:T00033345
タイでの大規模な洪水発生を受け、運輸業界への影響が拡大している。航空業界では、外交部が21日に被災地へのバンコク都および28県への渡航に対する警告レベルを最高の「渡航すべきでない(赤)」に設定したこともあり、中華航空(チャイナエアライン)のバンコク便搭乗率が約80%から50%以下に急降下している。また、海運業界でもバンコク線の積載量が8〜10%減少。両業界では、洪水被害が長引けば影響はさらに深刻化すると懸念を強めている。25日付工商時報が報じた。
バンコク中心部は大部分が被害をまぬがれているが、チャオプラヤー川に近い西部の中華街などは既に冠水した(中央社)
中華航空は現在、バンコク路線を桃園空港発着、高雄空港発着合わせて1日4便運航している。同社によると本来は人気路線だが、外交部が渡航警告を引き上げた影響で、今月17日から25日の間に1,000人近く乗客が減少したという。
ダメージを緩和するため、中華航空は旅行会社と協力し、観光客の行き先をチェンマイやクアラルンプール、マニラに変更したり、出発の延期などの手配を進めている。しかし、短期内に状況が改善しない場合は、機体の小型機への変更、減便なども検討するとしている。
一方、バンコク線を週27便運航する長栄航空(エバー航空)も、洪水発生以降、ビジネス客や個人旅行客の数に大きな変化はないが、団体観光客による利用が10月は約3割減少している。ただ同社は、空港運営、航空機の離着陸ともに正常で、災害が収束すれば搭乗率は回復するとしている。
海運、レムチャバン港利用を提案
海運業界では、アジア航路を主力とする万海航運(ワンハイラインズ)と徳翔海運(TSラインズ)が打撃を受けている。両社は、現在輸出を待つ農産品がなくなれば積載量はさらに減少すると予想。また一部メーカーの出荷が正常に行われていないことや、荷主が貨物を引き取れず、チャオプラヤー川の河川港、バンコク港に積荷があふれるのではないかとの問題については「しばらく観察が必要」としている。こうした状況の中、船会社は顧客に対し、正常に運営が行われているレムチャバン港(バンコクの南約130キロメートル)の利用を提案している。
一方、陽明海運(ヤンミン・マリン・トランスポート)は今回の洪水被害から市場が正常な状態を取り戻すには約3カ月かかるが、その後は復興用物資の輸送が増えるとみている。
食品業、原料価格上昇に懸念
また、タイが世界生産量の31%を占めるコメや、小麦、トウモロコシの価格上昇も懸念されており、台湾では食品最大手の統一企業(ユニプレジデント)が最も影響を受けることになる。同社は上半期、原料がコストの65〜70%を占めており、原料価格が10%上昇すれば、粗利益率が2ポイント低下すると予想される。
一方、今回の洪水を受けてカメラなどの日系メーカーが、台湾メーカーに発注先を変更する動きが出ているが、黄吉実・経済部統計長は、「被害を受けたタイの工場は、多くが年末までの生産能力回復は難しいとしており、台湾メーカーへの発注シフト効果は年内いっぱい続く」との見方を示した。
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