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奇美電、ブラジル進出を計画


ニュース 電子 作成日:2011年11月3日_記事番号:T00033541

奇美電、ブラジル進出を計画

 鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の液晶パネル大手、奇美電子(チーメイ・イノルックス)がブラジル進出を計画している。現地生産によって高い輸入税率をクリアし、鴻海集団による成長著しい南米市場の開拓に貢献する狙いだ。3日付工商時報が報じた。

 これまでの報道によると、鴻海集団はブラジルのサンパウロ州ジュンディアイ市などに計120億米ドルを投資し、アップルのタブレット型パソコン「iPad」などの生産を行う。ブラジル政府高官は先月、12月に生産に入ると正式発表を行ったが、ジュンディアイ工場では既にアップルのスマートフォンの組み立てを手がけているとの情報もある。

 奇美電の進出計画は鴻海集団によるブラジル展開の一環で、120億米ドルのうち80億米ドルを液晶パネルとタッチパネルの投資に充てるもようだ。奇美電は第5世代または第7.5世代の液晶パネル工場をブラジルに移転し、段行建総経理が現地に赴任することも視野に入れている。実現すれば、アジア以外の国で液晶パネル工場が稼働する初のケースとなる。ただ、奇美電の広報担当者は「あらゆる可能性があり得るが、まだすべて議論の段階だ」とコメントした。なお鴻海集団は、今後ノートPCや液晶テレビなどのコンシューマ製品も、ブラジルで生産することを計画しているという。

「外的要因が重要」

 奇美電の王志超・南部科学工業園区(南科)分公司総経理は先日、ブラジル進出に関連して、「液晶パネル技術は既に差別化が困難で、為替レートや関税など外的要素がコスト競争力に影響している」と指摘した上で、ブラジルは国内産業を保護するために高い輸入税率を設定している上、税制が複雑で、この課題をクリアすることが激烈な競争を勝ち抜く上での鍵だと発言していた。

税率40%以上に

 ブラジルは工業製品の輸入に対し、平均17%の輸入税のほか、平均10%で輸入量が増えるほど税率が高くなる累進式の工業製品税をかけている。部品・素材の輸入税率は5%だが、完成品の場合20〜30%に跳ね上がる。また、商品を各州をまたいで輸送する場合、平均17〜18%の商品流通税がかかり、すべて合わせると税率は40%を上回ると計算になる。

 なお、ブラジル政府は海外のハイテク企業誘致のため、大幅な租税優遇を与える方針を示している。また、先日は政府高官が、ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)が鴻海集団の主要投資項目に出資を行う意向を示しており、こうした好条件を獲得できれば投資の障害は大きく低下するとみられる。 

【表】