ニュース 公益 作成日:2011年11月4日_記事番号:T00033570
馬英九総統は3日、台湾電力第1~3原子力発電所の運転期間を延長せず、脱原発に向けて着実にまい進すると宣言した。原発は徐々に縮小する方針だが、建設中の第4原発(新北市貢寮区)は電力確保のため、早ければ2014年にも部分運転を開始する。施顔祥経済部長は、電力の安定供給のため、天然ガスで代替する可能性が高いと語った。4日付聯合報などが報じた。

馬総統(左1)は原発による電力供給を犠牲にしても、原発事故は絶対に起こさないと強調した(3日=中央社)
馬総統はエネルギー政策に関する記者会見で、「電力制限を行わず、合理的な電力料金を維持し、温室効果ガスの排出量の国際基準を満たす」という3原則を提示した。
台湾では現在、火力発電が72%で、原発による電力供給は19%を占める。第1原発は台北市から直線距離で28キロメートルの新北市石門区にあり、発電量は127万2,000キロワット(kW)、第4原発が16年までに安定運転できれば、前倒しで16年に運転を終了する。第2原発も台北市から22キロ離れた新北市万里区に位置し、発電量は197万kW、21年か22年に運転終了予定だ。第3原発は台湾最南端、屏東県恒春鎮にあり、発電量190万2,000kW、24年か25年の運転終了が見込まれる。一方、第4原発は発電量270万kWの計画だ。
4年ごとに安全確認
施経済部長は、第4原発を16年に安定運転するには1~2年前に運転を開始する必要があるとの考えだ。運転開始の際には、世界原子力発電事業者協会(WANO)の視察を受けて安全性を確認し、その後も4年に1回、運転継続を検討すると語った。
原発縮小後の電力安定供給の最有力候補に挙げた天然ガスは、現在の調達量が1,350万トンで、政府目標では30年に2,000万トンに達すると述べた。
蔡主席、「脱原発30年遅れる」
馬総統は、台湾は天然資源に恵まれず、エネルギーの99%を輸入に頼っていると指摘。総統選の対抗馬である民進党・蔡英文主席の、25年までに台湾の脱原発化を目指す「2025非核家園計画」に対し、安易で理想主義的な発想だと批判した。
一方蔡主席は、第4原発の運転を開始すれば、脱原発化の実現が30年遅れると批判した。さらに、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故が、日本国民と土地に与える被害は30年以上続くという専門家の見方を示し、地震や津波のような自然災害は人間の力でコントロールできず、発生してから手を打つのでは遅すぎると訴えた。
環境団体、「現実的でない」
環境保護団体、台湾環境保護聯盟の李卓翰秘書長は、第4原発を稼働させれば少なくとも40年は運転することになり、脱原発化を無期限で延期するに等しいと馬総統の方針を非難した。
緑色公民行動聯盟の洪申翰副秘書長は、第4原発完成までに今後500億台湾元(約1,290億円)かかるが、建設を中止して発生する違約金は100億元以下だと指摘した。
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