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南亜科技、再び1割超の減産


ニュース 電子 作成日:2011年11月18日_記事番号:T00033853

南亜科技、再び1割超の減産

 DRAM大手、南亜科技の白培霖副総経理は17日、今四半期に再度10〜20%の減産を実施すると表明した。10月に減産をいったん打ち切っていたが、DRAM価格下落が11月に入っても続き底が見えないこと、さらにタイ大洪水によるハードディスクドライブ(HDD)の供給不足がパソコン出荷に大きな影響を及ぼしていることから、DRAM業界の景気回復がさらに遅れると見込み再び減産に踏み切ることにした。18日付工商時報などが報じた。

 白副総経理によると、DRAMオファー価格は既にあらゆるメーカーの現金コストを割り込み、さらに変動費用をも下回る勢いとなっている。こうした厳しい状況の下、DRAM価格は今後2カ月は、大きな下落があるとは考えにくく、小幅な変動が続くとの見方を示した。

「打撃は日本の震災しのぐ」

 タイの洪水については、HDDの供給量が今四半期、1億8,000万台から1億2,000万台へと約3割急減し、サーバーやPC、コンシューマー向け電子製品の出荷にダメージを及ぼしており、パソコン受託メーカーは限りあるHDDをサーバー顧客向けに優先して振り向けると予測した。

 PCメーカーがHDDを確保できないためDRAMメーカーの受注も減少しており、業界の景気回復も先送りされる見通しだ。南亜科技はHDD供給が洪水発生前の水準に戻るのは来年第4四半期と予想しており、白副総経理は「タイ洪水によるPC産業への打撃は東日本大震災をはるかにしのぐ」と表現した。

 なお同社DRAMの在庫水準は現在3〜4週間と正常値の2週間を大きく上回っており、消化にはしばらく時間がかかりそうだ。

 こうした中、南亜科技は同日、臨時株主総会および董事会を開催して300億台湾元(約760億円)規模の第三者割当増資実施を決議した。すべて親グループの台塑集団(台湾プラスチックグループ)が引き受け、危機的状況にある南亜科技を支援する。

施経済部長「傍観はしない」

 施顔祥経済部長は同日、現在苦境にあるDRAM、液晶パネル、発光ダイオード(LED)、太陽電池の4産業について「過去、現在、未来にわたり重要な産業であり、適切な時期を見て介入する。傍観はしない」と語った。

 このうちDRAM産業については、DRAMがなければ台湾のPC産業に欠落が生じ、業界全体の供給に問題が生じるとの考えを示した。

 また先ごろ力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)が経済部に債務繰り延べ期間の1年延長を求めるための支援を申請し、経済部がこれに応じる構えを見せたことについて、「業界内の淘汰を進めるべきなのに、なぜパワーチップを救済するのか」との疑問が出ている。これに対し施経済部長は「最終的な決定権は銀行団にある」と強調し、「パワーチップの淘汰を願うかどうかは銀行団に聞くべきだ」と語った。

 なお、南亜科技は「現時点で政府に支援を要請する必要はない」としつつ、「ただ、政府が競合他社に手を貸さないことを希望する」と語った。競合他社についてはエルピーダメモリとパワーチップを挙げた。

【表】