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HTCのQ4売上予測、25%下方修正


ニュース 電子 作成日:2011年11月24日_記事番号:T00033963

HTCのQ4売上予測、25%下方修正

 スマートフォンブランド大手、宏達国際電子(HTC)は23日、第4四半期の連結売上高予測の約25%下方修正を発表した。同社の業績見通しの下方修正は、創業以来初めてだ。欧州の深刻な景気低迷による受注減、およびライバルのサムスン電子が欧州市場で最近値下げを行っていることで、HTCへの脅威が高まったことが要因だ。同社は第4四半期の出荷見通しを示していないが、当初予測を2〜3割下回るとみられ、通年でも年初予測にまったく届かない情況だ。24日付工商時報がなど報じた。

 HTCはこれまで一貫して「今期の業績目標は不変」と強調してきたため、今回の発表に業界で驚きが広がっている。ただ、一部業界関係者によると、サムスンの値下げがHTCのハイエンド機種販売に影響を及ぼしていることや、欧州の景気低迷によりHTCの主要顧客が11月初めに大幅な発注量カットを行い、合計100万台の受注減に見舞われたことから、今回の下方修正は予想されたこととの指摘も出ている。

 HTCは当初、第4四半期の業績について、売上高1,250億〜1,350億台湾元(約3,160億〜3,400億円)、出荷台数1,200万〜1,300万台と予測していた。しかし同社は今回、「今期連結売上高は昨年同期と同水準」との予測を修正した。昨年第4四半期の同社連結売上高は1,040億元(約2,600億円)のため、HTCは約25%の下方修正を行ったことになる。

 また今年10月の連結売上高は441億1,300万元だったため、下方修正後の数値を基に計算すると11〜12月連結売上高は単月約300億元と、昨年第4四半期以降で最低水準に落ち込むことになる。

 出荷台数も当初予測を2〜3割下回る1,000万台程度にとどまるとみられ、通年では4,500万台と年初予測の5,000万〜6,000万台を大きく下回る見通しだ。

S3合併を再検討

 なおHTCは同日、7月に発表したグラフィックICメーカーのS3グラフィックスの買収・合併について「改めて検討し直す」と表明した。HTCはS3買収により、同社の保有する特許を手中に収め、アップルとの特許紛争を有利に進める狙いがあったが、S3が特許侵害でアップルを訴えた案件で21日、米国際貿易委員会(ITC)がS3敗訴の最終判決を下したことから、合併効果に疑念が生じていた。

 HTCは3億米ドルを投じ、HTCの王雪紅董事長が董事長を務める威盛電子(VIAテクノロジーズ)、王董事長が個人で出資する投資会社WTIからS3株を取得、年内に手続きを完了させるとしていたが、これに対し市場では価格が高すぎる、関連当事者取引に当たるなどとして疑問の声が出ていた。

 これについてVIAは「見直しは取引条件および内容に関するもので、HTCが取引を中止することはできない」と強調した。観測によると、S3とアップルの特許訴訟についての判決内容はまだ公表されていないため、HTCは公表を待ってアップルがS3の特許を侵害していないことが確実かどうかを確認した上で買収案を再検討する考えとみられる。

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