ニュース 石油・化学 作成日:2011年12月5日_記事番号:T00034162
台塑集団(台湾プラスチックグループ)が、中国・浙江省寧波市の石化プラントで計画していた第2期拡張事業を、8月に全面撤回していたことが明らかとなった。同グループ第6ナフサ分解プラント(雲林県麦寮郷、通称六軽)で今年火災が相次いだことから、同プラント第5期拡張事業の第2次環境影響評価通過に遅れが出る見通しとなる中、中国投資認可に際し、台湾への同等の投資を求める政府方針を満たすことができなくなったためとみられる。第6ナフサ5期および寧波第2期計画合わせて3,500億台湾元(約9,000億円)の投資がストップすることになる。5日付蘋果日報が報じた。
これについて台プラ主管は「すべて安全を第一に考える」とだけ語り、寧波第2期計画に関する経済部投資審議委員会(投審会)への認可申請を取り下げたかどうかについてはコメントを避けた。しかし、范良棟・投審会執行秘書は「台プラは既に申請を撤回した。連続火災事故の後、内部で検討した結果と考えられ、投審会が却下したわけではない」と計画中止が事実であると認めた。
業界関係者によると、投資総額23億米ドルの寧波第2期計画について、経済部は早くから「中国重視、台湾軽視」の疑念を抱いていたという。その上に第6ナフサ連続火災により、台湾での投資が行き詰まったことから、台湾への「対等投資」が求められる中国投資への認可は難しいとみて台プラが自ら撤回を決めたとみられる。
「大エチレン計画」は続行
一方で台プラは、寧波でのナフサ分解プラント設置を目指す「大エチレン計画」については、依然続行する姿勢だ。台プラは現在、寧波市政府、中国国営企業との三者合弁モデルで、中国の進める第12次5カ年計画(2011〜15年)のプロジェクトにリストアップされるチャンスをうかがっているとされ、王文淵グループ総裁が先週、1カ月間で2度目となる北京訪問を行うなど、中国側に積極的に働きかけているもようだ。
なお、中国でのナフサプラント設置は、陳武雄・台湾区石油化学工業同業公会(石化公会)理事長が主導し、中国石油化学工業開発(CPDC)、台湾聚合化学品(USI)など4社が出資する福建省漳州市の古雷港口経済開発区での設置も計画されており、台プラの計画といずれが中国政府の支援を獲得するかは今月末にも明らかになる見通しだ。
ただ、台湾政府は中国でのナフサプラント設置を認めておらず、中国側の同意を得たとしても、台湾側が規制緩和を行わない限り実現しない。これについて石化公会の陳理事長は、「政府の石化政策は既に『質は台湾域内、量は台湾域外』で固まっており、業界も台湾での高付加価値化および海外での工場拡張方針を受け入れている」と語り、「台湾の石化企業が中国の5カ年計画入りを果たせば、政府も中国でのナフサプラント設置を開放すると信じる」と強調した。これについて杜紫軍・経済部工業局長は「現時点で(開放は)計画していない」と語るにとどめた。
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