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高鉄で急病人、医師が乗り合わせ命拾い


ニュース 社会 作成日:2011年12月7日_記事番号:T00034194

高鉄で急病人、医師が乗り合わせ命拾い

 6日午前8時ごろ、台湾高速鉄路(高鉄)の台北行き上り604号が、新竹駅を出発しかけて13分間停止した。心臓病で倒れた乗客を救助するためだった。

 異変が見つかったのは、ある乗客が10両目の予約席に着こうしたときだった。他の人が座っていたため席を移るよう声をかけたが反応がない。何度呼びかけても返事がないため「おかしい!」と気づき、非常ボタンを押したという。列車は急ブレーキで停止。1両目がプラットホームを離れたところだった。

 座席で気を失っていたのは陳立仁さん(43歳)。仕事のため新竹に部屋を借り、週末ごとに高雄の自宅へ戻るという生活をしていたが、この日はいつも服用している薬がなく、乗車後すぐに気分が悪くなったのだという。

 車掌は非常ボタンで乗客が危険な状態と知り、すぐに駅構内のスタッフに連絡、酸素マスクやAED(自動体外式除細動器)を準備し、車内に医師はいないかとアナウンスで呼びかけた。

 放送を聞いて駆けつけたのは、台湾大学医学院附設医院(台大医院)新竹分院心臓外科の王医師と、新竹国泰総合医院腸胃科の廖医師だった。医師らは乗客とともに陳さんをプラットホームまで運んで寝かせ、酸素マスクや心臓マッサージを施した。意識を取り戻した陳さんが救急車で運ばれてから列車は再び動き出した。ひとまず危機を脱したことを知った乗客は足止めをくらったにもかかわらず、大きな拍手で救助成功を喜んだという。

 台大医院新竹分院へ運ばれた陳さんは6時間を経て問題なしと確認され、退院の際に命の恩人は誰なのかと看護士に尋ねた。一方、救助の先頭に立った王医師と廖医師はともに「医師として当然の義務を果たしただけ」といたって謙虚。王医師は「以前、飛行機の中で心筋梗塞の患者を診たことはあるが、高鉄では初めて。乗客も皆、なんとか助けようと一生懸命だった」と語った。また、心臓病を患う人々に向けて、ここ数日気温の変化が激しいため身体を冷やさないこと、薬は決められた時間に飲み、なくなったらすぐ補充することが大切だと強調した。

 しかし陳立仁さんは、もし誰も声をかけなかったら一体どうなっていたことだろう。今回はちゃっかり他人の座席に座っていたことが幸いしたようだ。