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HTC3割減収、上位・下位機種とも苦戦


ニュース 電子 作成日:2011年12月7日_記事番号:T00034218

HTC3割減収、上位・下位機種とも苦戦

 個々のユーザーを満足させる幅広いラインナップが持ち味のスマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)が、ハイエンドモデルではアップルやサムスン電子、ローエンドモデルでは中国の中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に押され、苦戦している。11月連結売上高は前月比3割減の309億台湾元(約800億円)まで落ち込み、過去14カ月で最低となった。非需要期の12月は良くても前月並みにとどまりそうだ。7日付工商時報などが報じた。

LTEの先行メリット薄まる

 HTCは今年、春節(旧正月)連休のあった2月に321億元だった以外は軒並み350億元以上の連結売上高を維持し、5月に400億元を超えた後、6~10月は450億元前後を保っていた。

 11月に急減した原因の一つは、世界で初となる第4世代(4G)無線通信規格、LTE対応スマートフォン、「サンダーボルト」を3月に米国で発売したものの、サムスンやモトローラもこの数カ月間で追随し、HTCの先行メリットが薄れたことがある。HTCは11月初めにも米通信キャリアからLTE対応2機種を発売した。当初は同月連結売上高を450億元まで押し上げる効果が期待されていたが、サムスンやモトローラと市場を分け合う結果となり、販売は予想ほど振るわなかった。

 一方で、サムスンの旗艦機種「ギャラクシーS2」は第4四半期販売台数が前期並みの高水準、アップル「iPhone」は前期比4~5割増の2,400万台以上が見込まれるなど、競争力のある製品には欧州債務問題の影響がさほど出ていない。

 アップルにいたっては、HTCの地元の台湾でさえ、16日発売の「iPhone4S」購入予約受付が通信キャリア3社合計で40万台(6日時点)に迫る勢いだ。内訳は、▽中華電信、21万台余り▽台湾大哥大(タイワン・モバイル)、8万台余り▽遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)、9万台近く──。ただ、このうち2割は重複しており、実際の予約は30万台程度とみられる。

あいまいな立ち位置

 もう一つの不調要因、ローエンドモデル市場では、ZTEやファーウェイが下半期に次々と1,000人民元(約1万2,000円)クラスの機種を投入し、中国発売2カ月足らずで100万台を超える好業績をたたき出した。HTCはこの低価格クラス競争には加わらないと表明しているが、現行ローエンドモデル、「エクスプローラー」(台湾の本体価格7,900台湾元=約2万円)は、そもそも価格面で中国2社と戦えない。また、自社の前世代ミドル~ローエンドモデル「ワイルドファイヤーS」との違いも不明確だ。

 HTCは12月連結売上高で11月を上回ることは困難との見方が一般的だ。ただ、同月250億元以上を出せれば、先月末に急きょ25%下方修正した第4四半期目標、1,000億元は達成できる計算だ。

【図】