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総統選大詰め、蔡候補が大連立構想アピール


ニュース 政治 作成日:2012年1月9日_記事番号:T00034774

総統選大詰め、蔡候補が大連立構想アピール

 総統選挙に向けて最後の週末となった7日と8日、馬英九氏(国民党・現職)と蔡英文氏(民進党)の2人の有力候補は、全土の主要都市で大型集会やパレードを繰り広げ、気勢を上げた。蔡候補は当選後の組閣について、行政院長を民進党以外の人物とする可能性を含め、異なる政党と社会の各界から優秀な人材を迎えて大連立政権を実現させることに前向きな姿勢を示した。


馬候補(中央)は大勢の支持者とともに台北市仁愛路を練り歩いた(8日=中央社)

 これは総統選と同時に行われる立法委員選挙で、民進党が過半数を獲得することは困難で、総統選で勝利を得たとしても立法院の最大勢力は依然国民党のままとなる「ねじれ現象」を念頭に置いての発言だ。連立政権構想を明らかにすることで、青(国民党)と緑(民進党)による長年の政治的対立を解消する姿勢をアピールし、浮動層からの支持拡大を図る狙いがあるとみられる。しかし、主権問題の概念などをめぐり、「水と油」の関係にある両党の連立は困難を伴う。仮に連立が成立したとしても、政権運営は壁に突き当たるとの見方が根強い。

 馬候補は連立構想について「良い提案とは言えない。基本的に選挙向けの発言だ」と切り捨てた。また、国民党の選対関係者からは「最終段階になってこうした呼びかけを行うのは、選挙情勢がうまくいっていないことをはっきり示している」との指摘も聞かれた。

 民進党は、第1次陳水扁政権の発足時に軍・国民党系の唐飛氏を行政院長に迎えたものの、第4原発の建設問題などで閣内不一致に陥り、短命内閣に終わっている。

花蓮県長が寝返り、馬候補にプラス

 蔡候補が7日台南市で開いた集会には6万人を超える人が集まった。今回、蔡候補の集会などには、地盤である中南部で多くの人が足を運ぶ傾向がある。8日台中市と新北市で開いた集会では、いずれも「当地で過半数を取れれば勝てる」と強く訴えた。

 国民党は8日、台北市で大型パレードを行い、支持者の士気を高めた。接戦が伝えられていることを受けて馬候補は「1人少なくとも10票を集めよう」と支持者らに呼びかけた。

 一方、親民党の宋楚瑜候補の陣営は9日、元同党立法委員の傅崐萁・花蓮県長が馬候補の応援集会に参加し、馬候補の支持に転じる「棄宋保馬」の姿勢を鮮明にした。これについて傅崐萁県長は「苦痛だが、民衆の福祉と花蓮全体の利益のために決めた」と説明した。なお、立法委員選では比例代表で親民党への投票を呼びかけている。

 馬候補は当選の鍵の一つに、思想的に同系列の宋候補にあまり票を食われないことがあるが、宋候補が最大拠点と目していた花蓮での傅県長の「寝返り」は、馬候補にとって明らかにプラス要因だ。