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11年貿易総額過去最高、今年は鈍化見通し


ニュース その他分野 作成日:2012年1月10日_記事番号:T00034802

11年貿易総額過去最高、今年は鈍化見通し

 財政部が9日発表した2011年貿易総額は、輸出総額、輸入総額がいずれも過去最高となり、前年比12.2%増の5,899億1,000万米ドルを記録した。ただ、昨年下半期から輸出の伸びに陰りが見られ、財政部は今年は明らかに鈍化するとの予測を示した。中台間の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)に基づくアーリーハーベスト(早期の実施・解決項目)の関税引き下げ対象のうち、中国に輸入する際にゼロ関税となる品目の割合が今年9割に拡大したことが、輸出を下支えする役割を果たしそうだ。10日付工商時報などが報じた。

 11年輸出総額は前年比12.3%増の3,083億米ドルで、輸入総額は同12.1%増の2,816億1,000万米ドル。貿易黒字は同14.3%増の266億9,000万米ドルで、過去3番目に多かった。

 主要国・地域向けの輸出額はいずれも過去最高だった。特に東南アジア諸国連合(ASEAN)6カ国(シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナム)向けは507億4,000万米ドルで前年比22.7%増の大幅成長を果たした。輸出総額に占める割合は過去最高の16.5%に拡大し、中国(香港含む)向けの40.2%に次いで多くなった。

 製品別では、輸出額の上位10製品がいずれも前年比で成長した。特に顕著な伸び幅は▽情報通信製品、40.5%▽機械、22.4%▽鉱物製品、20.7%──。一方、輸出額11位の電機製品(中小型液晶パネルなど)は16.2%減だった。

12月も振るわず

 財政部の林麗貞統計長は、昨年は異例で、上半期に輸出が好調だった一方、需要期の下半期は振るわなかったと指摘した。経済部国際貿易局(国貿局)は昨年輸出に打撃を与えた要因として、▽東日本大震災▽台塑集団(台湾プラスチックグループ)第6ナフサ分解プラント(雲林県麦寮郷、通称六軽)の連続火災事故による操業停止▽中国の金融引き締め政策▽欧州債務問題──を挙げた。

 昨年12月の輸出総額は前月比2.9%減、前年同月比0.6%増の239億5,000万米ドル、輸入総額は前月比0.7%増、前年同月比2.7%減の216億3,000万米ドルだった。

輸出、下半期に大幅成長か

 林統計長は今年、欧州債務問題の早期解決が困難なこと、中国が予測する輸出成長鈍化・経済成長減速が、台湾の輸出に不利に働くとの見方だ。行政院主計処の予測によると、12年輸出総額の成長率は5.3%、輸入総額は4.7%だ。国貿局は9日、輸出の先行指標である機械製品の11年輸入が6.4%減だったと指摘。輸出総額は今年第1四半期が谷底になると予測した。一方、下半期からは大幅な成長を見込んでいる。

工作機械、5大輸出産業入り

 工作機械の業界団体、台湾区機器工業同業公会(TAMI)によると、機械の昨年12月輸出額は前月比4.3%増、前年同月比7.6%増の510億台湾元(約1,300億円)。通年では前年比22.4%増の204億7,250万米ドルだった。

 王正青TAMI総幹事は、機械の輸出額が昨年初めて情報通信の198億米ドル、鉄鋼の190億米ドルを抜いて台湾の輸出分野の5位に浮上したと指摘した。上位1~4位は順に、▽電子▽石油化学▽プラスチック製品▽光学・医療関係──。

 王総幹事は今年について、米国、日本、タイなどは経済成長率が昨年より改善すると予測され、中国はECFA関税引き下げ効果が見込まれることから、楽観している。台湾機械産業の生産額は昨年、前年比20%増の325億米ドル(9,600億~9,800億元相当)で過去最高を更新しており、今年は10%成長して1兆元産業の仲間入りを果たす可能性があると強調した。

【図】