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立法委員選は国民党過半数、民進党40議席に拡大【図】


ニュース 政治 作成日:2012年1月15日_記事番号:T00034893

立法委員選は国民党過半数、民進党40議席に拡大【図】

 総統選挙と同時に行われた立法委員選挙(定数113議席)は、国民党が64議席(小選挙区48議席、比例代表16議席)の過半数を上回る議席を獲得し、引き続き安定多数で2期目の馬英九政権を支えることになった。最大野党の民進党は前回の27議席から40議席(同27議席、同13議席)に増やしたが、目標だった50議席には及ばなかった。李登輝元総統を後ろ盾とする台湾団結聯盟(台聯)は3議席、宋楚瑜氏率いる親民党も3議席を獲得、いずれも立法院での第3勢力となり法案などの提案権や与野党協議への参加権を得た。

 投票率は小選挙区が74.72%、比例代表が74.33%と前回より20ポイント以上上昇した。国民党は前回の81議席から17議席減らしたが、前回は極端すぎる大勝で、単独過半数を維持する今回の目標は達成した。今後4年間、立法院は「2大政党プラス2小政党」で運営される。

国民党、桃園・新竹・苗栗で全勝

 小選挙区の投票動向は、北部と中部に強い国民党、雲林県以南の南部に強い民進党の構図は今回も変わらなかった。前回と同様に大票田の新北市と台北市での圧勝に加え、「鉄票所」と呼ばれる桃園県、新竹県・市、苗栗県では10選挙区で全勝した。しかし雲林県以南の6県市では民進党の基盤を崩せず、22議席中5議席にとどまった。中部の台中市、彰化県、南投県でも若干議席数を減らしている。東部では宜蘭県と台東県で議席を失った。

 民進党は前回に続いて台南市の5選挙区で全勝。さらに前回は8選挙区で全敗した台北市で1勝して一矢を報いるとともに、新北市では前回と同じ2議席を維持した。台中市では3議席を獲得、離島の澎湖県も初めて制した。さらに、前回は定数9議席のうち6議席を国民党に奪われた高雄市で、7議席を奪って雪辱を果たした。民進党は雲林県以南での強さは保ったが、北部での支持基盤の弱さという課題は解消できていない。

台聯・親民党が3議席確保

 注目されたのは前回1議席も取れなかった、台湾団結聯盟(台聯)が比例代表で117万8,896票を獲得して3議席を得たことだ。選挙戦の後半、黄昆輝主席は「(比例代表での議席獲得に必要な得票率の)5%を超えなかった場合、党を解散する」と表明、悲愴な覚悟で開票を待った。しかし、台聯は選挙区に候補者を立てていなかったため、議席獲得は難しいとみられていた。

 鍵になったのが投票日前日、民進党の蔡英文氏への投票を呼びかけるために同党の選挙集会で行った李氏と言われる。李氏は昨年11月に大腸がんの手術を受けて以来療養を続けていたが、看護士に付き添われて登壇し「台湾はあなたたちに任せた」「これが最後のお願いだ」などと訴えた。台聯への投票は呼びかけなかったものの、病み上がりを押しての懸命な姿が本土派の有権者の共感を呼び、予想を上回る得票をもたらしたとみられる。

 また、親民党の宋楚瑜氏は総統選挙で惨敗しものの、同氏が前面に出て選挙運動をしたことで支持者の士気が上がり、親民党は比例代表で2議席を獲得。原住民枠と合わせて目標としていた3議席(前回は1議席)に届いた。

小政党に不利な制度

 現行の小選挙区比例代表制は小政党にとり不利な制度だ。李氏や宋氏といった台湾政界の大物が「顔」である2党はかろうじて存続の機会を手にしたが、20万票を割り込んだ新党などその他のミニ政党は存亡の危機にある。

 15日付聯合報は、現行制度の欠陥として供託金の高さや小選挙区での立候補の条件が合理的でないことなどを挙げて「2大政党制の強化につながっている」と指摘、有権者の多様な声が反映されるように制度の一部を改める必要があると提言した。