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民進党、対中路線で内部対立も


ニュース 政治 作成日:2012年1月15日_記事番号:T00034894

民進党、対中路線で内部対立も

 対中政策で馬英九氏が「一つの中国、それぞれの解釈」と主張する「1992年の共識(92共識)」を旗印とする国民党に対し、蔡英文氏が「統一、独立を排除しない『台湾共識』の形成」を訴えて敗れた民進党の今後について15日付中国時報は、「対中政策の見直しに直面する」とした上で、同党内では中間層の支持拡大を目指し両岸(中台)関係での現実的な対応を目指すグループと、台湾本土意識を強く訴え、馬総統の親中姿勢を厳しく牽制(けんせい)するグループに分かれ、駆け引きが激化するとの見方を示した。


民進党主席辞任を表明した蔡氏(中)に選挙対策本部のスタッフや支持者が別れを惜しんだ(14日=中央社)

 民進党は今回の選挙で、中台関係について台湾共識のほか、「和して同ぜず、同じくして和を求む(和而不同、和而求同)」、「中華民国すなわち台湾」というスローガンを掲げ、中華民国体制と台湾本土意識を融合させて支持の拡大を図った。しかし、対中政策にで具体的な枠組みや内容を示すことができなかったことから国民党から「空手形だ」と批判を浴び、さらに大手企業のトップが相次いで92共識への支持を表明する中、「民進党はビジネスの障害」とのレッテルが貼られることになった。

 対中関係が最大のボトルネックであることが改めて浮き彫りになり、今後党内では中間層の取り込みに向け、いかに現実路線へと修正を図るかが議論されることは必至とみられる。しかし一方で、04年の総統選で「中間層などいない」との考えの下、本土派結集を強く訴えて勝利した陳水扁前総統の例もあることから、馬総統の再選を機に独立派グループがより勢力を強める可能性もあると指摘した。民進党は今回の敗戦に対し、中間層の取り込みが不十分だったのか、あるいは本土派の投票率が低かったのかを検討することになると中国時報は論じた。

後任主席選びで抗争激化

 なお、今回の敗戦により蔡氏が民進党主席辞任を表明したことを受け、15日付自由時報は、今後、後任の座をめぐって党内の権力争いが激化するとの見通しを示した。同紙は、これまで総統選立候補の経験がない蘇貞昌氏が復権を図る可能性があり、これにライバル心を燃やす謝長廷氏、游錫堃氏、呂秀蓮氏、および頼清徳台南市長、今回副総統候補となった蘇嘉全氏ら中堅世代を軸に後任選びが展開されると予想している。