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安定した中台関係、馬氏勝因の鍵に【図】


ニュース 政治 作成日:2012年1月15日_記事番号:T00034897

安定した中台関係、馬氏勝因の鍵に【図】

 馬英九氏は当選後の支持者へのあいさつで、「開放と規制緩和、経済振興の努力、争議を棚上げして両岸(中台)の平和を勝ち取ること、危機を商機に変える努力が有権者の信任を得た」と語った。今回の選挙結果は、馬政権が「一つの中国」の枠組みの下で進めてきた、中国と協力して経済発展を求める路線に肯定的な評価が下されたものだ。

 台湾の歴代政権は、「正統中国」をめぐって争った蒋介石・蒋経国氏、「二国論」「一辺一国(別々の国)」の李登輝氏、陳水扁氏と、ことごとく中国と対立関係にあった。馬氏は「一つの中国、それぞれの解釈」のいわゆる「1992年の共通認識(92共識)」を打ち出して争議を棚上げし、関係改善を図った結果、台湾海峡で衝突が起きる可能性は著しく低下、交流は過去60年間で最も密接になった。

 選挙終盤戦、長栄集団(エバーグリーン・グループ)の張栄発総裁ら大企業トップが相次いで「92共識」への支持を表明した中、民進党候補の蔡英文氏は、自身が提唱する対中関係の新テーゼ「台湾共識」の内容や、どのような手段でまとめるのかなど、具体的な説明ができなかった。中国も「92共識」を中台交流の 前提とする姿勢を鮮明にしたため、蔡氏は、当選した場合は中台関係が後退し、台湾経済に悪影響が出るとの不安感をぬぐい去れず、中間層への支持が広がらなかった。

政治対話の行方は?

 馬氏の「統一せず、独立せず、武力行使せず」は、「台湾は中台関係で現状維持を望む」という強烈なメッセージだ。

 一方、中国は09年に「中国と台湾が一つの中国に属することを、馬氏がより明確に表明すること」を希望するとの意向を台湾政府高官に伝えたことが、米公文書の内部告発サイト「ウィキリークス」によって明らかになっている。

 馬氏の「92共識」は「それぞれの解釈」に主眼があり、一方、中国にとっての「92共識」は「中国と台湾は一つの中国」だ。台湾の総統は3選が禁じられているため、中国は馬氏の2期目に政治対話を呼びかけてくる可能性があるが、仮に中国がこの問題で台湾に圧力をかければ、摩擦が高まる懸念が強い。ちなみに馬氏は「まだ機は熟していない」との認識だ。