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馬総統続投、経済界は大歓迎


ニュース その他分野 作成日:2012年1月16日_記事番号:T00034926

馬総統続投、経済界は大歓迎

 中国との関係を重視する馬英九総統(国民党)の2期目続投が決まり、経済界から歓迎の声が上がっている。鴻海科技集団(フォックスコン)は、新たな「黄金の4年間」で、中台での投資拡大を宣言。企業家の座談会では、中国商機を逃さぬよう、中台間の平和協定「両岸和平協議」の早期締結が叫ばれた。一方、民進党寄りの大手紙、自由時報は、投票日前に大企業の経営者らによる「1992年の共通認識(92共識)」への支持表明が相次いだことは、操られたかのように不自然で、「両岸和平協議」締結にも住民投票が必須と警戒感を示した。


郭台銘・鴻海董事長(後方右3)は15日に台北市立動物園で開催した尾牙(忘年会)で、今年の15%増収目標に変更はないと語った(15日=中央社)

 鴻海の郭台銘董事長は、総統選挙は台湾住民が安定を選択した結果で、経済界の志気を高めたと評した。中台での投資拡大は、総統選の当選者別に用意していた2パターンのうち「A計画」の採用が確定したためだという。

 郭董事長は中国投資拡大の理由として、低賃金の労働力・産業集積の形成、川上~川下の垂直統合で、中国にかなう国・地域がないことを挙げた。中国が世界の工場だった時代は終わったという人も多いが、今後10~20年間はその地位が揺るがないと強調した。

 台湾投資については、中部科学工業園区(中科)を精密機械・自動化設備の世界的な拠点とするために、選挙前日に600件の求人を行ったと語った。

 同社は16日から5日間にわたり、今年度の戦略会議を開催する。

企業に有利を強調

 馬総統の再選で、今後のビジネス環境に期待を寄せるハイテク企業は多い。スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)の王雪紅董事長は、「92共識」の下、両岸(中台)の和平を基礎に再出発できると表明。企業が必要とする安定したクリーンな政府の実現が、台湾に黄金の10年をもたらすと語った。半導体メーカー、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)の黄崇仁董事長は、馬総統が対中関係の基礎とする「92共識」の下、両岸の開放、経済繁栄の路線継続を期待し、欧州債務問題が続いても中国市場で補完できるとの見方を示した。

 また、総統選挙直後に開催された企業家の座談会では、冠徳建設(キンドム・コンストラクション)の馬玉山董事長が、中国の成長はとても速く、台湾に競争優位性があるうちに両岸和平協議を締結すべきとの意見を表明した。南僑集団の陳飛龍董事長も、締結が早いほど台湾に有利だと同調した。

ECFAから92共識に焦点移動

 一方、自由時報によると、かつて1989年に北京の天安門広場前で民主化運動を指揮したリーダーの1人だった、王丹・清華大学客員助理教授は、経済の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)でなく、政治的テーマである「92共識」ばかりが話題に上がり、台湾の大企業のトップが次々と支持を表明したのは、中国か国民党はか分からないが、背後で誰かが操っているとしか思えないと指摘した。

 自由時報は、馬総統が昨年10月にマニフェスト(政権公約)「黄金十年、国家願景」(黄金の10年、国家ビジョン)として提起した中台間の両岸和平協議が、最終的な統一に向かうとの有権者の懸念を呼び、必ず住民投票に諮ると述べたことを再度強調。今後馬総統の発言と行動が一致しているかを厳しく監視しなければならないと論じた。

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