ニュース 電子 作成日:2012年1月19日_記事番号:T00035010
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は18日、今年の半導体世界市場の予想成長率を2%へと、3カ月前の3~5%から引き下げた。2回目となる下方修正は、世界経済の下振れが主因だと説明した。一方で同社は、パソコンや消費者向け電子機器の顧客による在庫補充によって、例年オフシーズンの第1四半期売上高も前期と同水準を維持でき、第2四半期は予想以上の成長を遂げるとみている。19日付工商時報などが報じた。
張董事長は半導体市場予測の下方修正の理由として、米国景気はこれ以上悪化しないものの、欧州や日本市場は下向いており、景気が拡張しているのは中国のみであることを挙げた。また、今年の経済成長率に対する市場の見方は中国7~8%(従来予測8%)、米国2~2.5%(同3%)、欧州1%(同3%)で、軒並み下がってきていると指摘した。
張董事長は一方で、ファウンドリー市場は半導体市場全体の予想成長率2%を上回り、TSMCさらにファウンドリー市場よりも高い成長率が見込めると自信を示した。何麗梅・同社財務長は、米国小売市場の強い需要により、PCや消費者用電子機器向けは第1四半期売上高に2けた成長が見込めると語った。
TSMCが同日発表した昨年第4四半期連結売上高は、前期比1.7%減、前年同期比4.9%減の1,047億1,200万台湾元(約2,700億円)、純利益は前期比3.9%増、前年同期比22.5%減の315億7,800万元だった。昨年通年の連結売上高は前年比1.8%増の4,270億8,000万元で過去最高、純利益は同16.9%減の1,342億元だった。
設備投資60億ドル、サムスンを意識
TSMCは今年、設備投資に60億米ドルを投じる計画で、28ナノメートル製造プロセスの生産能力増強に全力を挙げる。28ナノの売上高構成比は昨年第4四半期の2%から今年第1四半期に5%、下半期には10%まで高める考えだ。
今年の設備投資予定額は昨年の72億8,600万米ドルに次ぐ高水準となっているものの、張董事長は60億米ドルで収まることはないとも語った。その上でサムスン電子について、市場シェアは今のところ高くないが、恐るべきライバルだとの見方を再度示した。
サムスンはIDM(垂直統合型の半導体メーカー)であると同時に、ファウンドリー関連の設備投資を同業界で唯一、昨年より増やすもようだ。IDM大手は製造プロセス45/40ナノ以降の自社工場を建てておらず、TSMCは生産能力が十分でなければ、サムスンに受注を奪われる恐れがある。ファウンドリー業界では、次世代技術の研究開発(R&D)に投じ続けることができる資金力が勝負の分かれ目となっている。
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