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台湾DRAM業界、大型再編も


ニュース 電子 作成日:2012年1月30日_記事番号:T00035064

台湾DRAM業界、大型再編も

 DRAM大手のエルピーダメモリが同業の米マイクロン・テクノロジーから5億米ドルの出資を受ける経営再建計画が、早ければ2月にも確定するとの観測が出ている。経営統合が実現すれば、エルピーダの提携パートナー、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)、瑞晶電子(レックスチップ・エレクトロニクス)、およびマイクロン陣営の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)を巻き込む業界再編が起こり、低迷から抜け出す契機になると期待されている。30日付経済日報などが報じた。

 台湾DRAM業界は2009年にも政府主導で水平統合を目指したが、各メーカーの思惑の違いから実現に至らなかった経緯がある。

 エルピーダとマイクロンは、2月にも提携覚書(MOU)を締結するという観測を事実と認めていない。台塑集団(台湾プラスチックグループ)南亜科技の白培霖副総経理も29日、これまでに両社と統合について協議したことはないと語った。

サムスンに対抗

 証券会社は、韓国サムスン電子、ハイニックス半導体に次ぐマイクロン、エルピーダは台湾メーカーとの関係が深く、経営統合となれば、日米台が手を組んで韓国メーカーに対抗する構図が出来上がり、勢力が増すと指摘した。エルピーダとマイクロンに南亜科技を加えると、世界市場シェアは28%となり、ハイニックスを抜いて世界2位となる計算だ。

 業界では、両社が経営統合すれば、南亜科技、同社とマイクロン合弁のイノテラ、パワーチップ、同社とエルピーダ合弁のレックスチップが一つにまとめられ、マイクロンが強みとするNAND型フラッシュメモリーにも参入して、サムスンに対抗する可能性があると指摘されている。

今年の設備投資、大幅縮小

 DRAM市況の不振が続く中、台湾DRAMメーカーは今年の設備投資額を縮小している。南亜科技は前年比68.8%減の34億台湾元(約88億円)、イノテラは同65.5%減の40億元の計画だ。パワーチップは20億~30億元にとどまる。3社合計でも約100億元と、台湾DRAM業界の過去最低規模となる見込みで、深刻な財政情況を反映している。

 ただ、エルピーダとマイクロンの経営統合が実現しなくても、マイクロン陣営2社は財務上の懸念は小さいようだ。南亜科技は台プラグループの後ろ盾があり、イノテラは先日、NAND型フラッシュメモリー事業の優位性から資金力があるマイクロンによる増資引受を取り付けている。