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「最悪時は過ぎた」、AUO業績回復に期待


ニュース 電子 作成日:2012年2月9日_記事番号:T00035313

「最悪時は過ぎた」、AUO業績回復に期待

 液晶パネル大手、友達光電(AUO)は2011年第4四半期も赤字が続き、通年損失額は過去最大の614億4,700万台湾元(約1,600億円)まで膨らんだ。ただ証券会社の間では、最悪の局面は過ぎたとの見方が多勢を占めた。AUOは高付加価値製品の出荷割合を昨年の50%から今年60%に引き上げる構えで、有機EL(OLED)や裸眼での3次元(3D)映像表示用のパネルなどを業績回復のけん引役と見込む。9日付電子時報などが報じた。

 AUOが8日発表した昨年第4四半期の連結売上高は前期比9.5%減の895億500万元。純損失は209億8,600万元で市場予測の100億元を大きく上回り、5四半期連続での赤字となった。パネル市況低迷による価格下落と設備稼働率低下に、今年第1四半期の新製品発売に向けた試作で良品率が下がったことが追い打ちをかけた。米国での価格カルテル訴訟費用として31億元を計上したことも響いた。

 昨年通年の連結売上高は前年比18.7%減の3,797億1,200万元だった。

高付加価値、中国の競合対策

 米カルテル事件の公判をにらみ1月1日付で就任した彭双浪AUO総経理は、昨年は企業体質改善のために痛みが伴ったが今年は努力が実るときと語り、パネル景気について「冬は終わり春が来る」との見通しを示した。その上で、製品の価値を引き上げれば、売上高も利益も増えると強調。例えば55インチの裸眼3D超高解析度パネルなら、単価も粗利益率も一般製品の数倍に上ると指摘した。

 蔡国新・ビデオソリューション事業群副総経理は、55インチ裸眼3Dパネルが日本の液晶テレビ大手に採用され、その製品が昨年12月に発売されたことを明らかにした。他の顧客も追随し、24インチ裸眼パネルを4月に出荷するほか、65インチ出荷は5倍に増える見通しだと語った。このほか、スマートフォン用のOLEDパネルや、ベゼル(枠)幅の狭い超スリムベゼルパネルも携帯電話メーカー大手の認証を取得した。超薄型軽量ノートパソコン「ウルトラブック」やタブレット型PC用パネル、ガラス一体型(OGS)タッチパネル、日米欧の自動車メーカー向け車載用パネルの出荷も今年急増する見通しだ。

 彭総経理は、こうした高付加価値製品は中国の京東方科技集団(BOE)や華星光電などの第8.5世代工場との直接対決を避ける目的があると説明した。パネル市況低迷を受け、AUOは中国・江蘇省昆山市での第8.5世代工場設立計画を延期しているが、彭総経理は、中国が液晶パネルに対する輸入関税を引き上げれば、稼働開始を急ぐ可能性もあると語った。

 ただ、今年は新たな生産ラインを稼働させない予定で、設備投資計画は400億元と、昨年の570億元を下回る。

黒字転換、Q3にも

 業績説明会に参加した万宝証券投資顧問(MARBO)は、AUOは1月に急な受注で設備稼働率が上がったと指摘。3月には中国の労働節(メーデー、5月1日)連休に向け需要が高まり、第1四半期の業績は前期より改善するとの予測を示した。

 ある証券会社は、昨年11~12月にパネルオファー価格の下落がストップしており、AUOは早ければ今年第3四半期、遅くても来年には黒字転換すると予測した。
 

【表】