ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

「92年の共通認識」、海基会が存在否定の声明


ニュース 政治 作成日:2007年11月5日_記事番号:T00003534

「92年の共通認識」、海基会が存在否定の声明

 
 中国国民党中央常務委員会が、来年度の政策文書から「国家統一綱領」と「1992年の共通認識」(92共識、「一つの中国、それぞれの解釈」のいわゆる「中台合意」)の、中台統一路線を示す文言の削除を決定して連戦名誉主席ら同党保守派の猛反発を招いた問題で、中国との交流窓口である海峡交流基金会の游盈隆副董事長兼秘書長は2日、「いわゆる『92共識』は存在しない」という声明を発表した。

 「92共識」は、「1992年に香港で行われた中国と国民党政権による会談で、中台関係の現状について、『一つの中国、それぞれの解釈』とすることで双方が合意を見た」というもの。

 実際は国民党から民進党への政権交代直前の00年4月、当時の蘇起行政院大陸委員会主任委員が、「両岸は『92共識』に立ち戻って対話を再開しよう」と呼び掛けた際に初めて語られた概念で、中国側が翌01年7月に「『92共識』を両岸の対話回復の前提条件としよう」と応じたことで定着した。

 なお、中国側はこれまで一度も「それぞれの解釈」に賛意を示しておらず、中国にとっての「92共識」は「両岸はともに一つの中国の原則を堅持する」で、「92共識」の存在否定声明を発表した游海基会副董事長は、「中国には『それぞれの解釈』を許容する余地は全くない」と語っている。

 「92共識」は本来は虚構だが、国民党は「大陸(中国)と台湾がお互いを否定しない、対話再開と両岸関係の安定を導く重要なプラットフォーム」として重視している。今回は総統選公認候補の馬英九氏(前党主席)が本土派中間層の票を獲得するために政策文書から削除したとみられているが、連名誉主席らの反発によって馬氏は「『92共識』は一貫した私の政策だ」と火消しに務める事態となった。

 游副董事長は、「『92共識』の受け入れは『一つの中国』の受け入れに等しく、『92共識』は今や中国の両岸関係に対する政治的枠組みとなり、両岸の正常な協議を阻害する最大の要因になっている」と声明で批判した。