ニュース 商業・サービス 作成日:2012年2月15日_記事番号:T00035424
鴻海科技集団(フォックスコン)の中国小売事業が苦戦に陥っている。販売店「万馬奔騰電器超市」の展開は最高280店止まりで全店赤字、販売サイト「飛虎楽購」は1日当たりの注文件数がわずか700件にとどまっている。EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手の同社でも、畑違いの小売業では手を焼いているもようだ。中国の経済誌「数字商業時代」を基に15日付工商時報が報じた。

鴻海集団の中国小売事業は、幅広い販路を展開することで、製造から小売りまでの一貫体制を築き上げ、顧客のブランドメーカーを囲い込むことに目的があるとされる。
鴻海集団は当初、独流通大手のメトロとの合弁の大型3C(コンピュータ、通信、家電)製品量販店「万得城電器(メディアマルクト)」で大都市を、小型3C製品販売店「万馬奔騰」で地方都市を攻略して、「敢創数碼」を集客が見込める大型量販店内に出店し、約10年前に買収した「賽博数碼広場(サイバーマート)」はIT(情報技術)製品を専門に、「飛虎楽購」はB2C(企業と一般消費者間)電子商取引とすみ分け、販路を幅広くカバーする構想を立てていた。
メトロのノウハウ、学び切れず
ところが、離職したグループ従業員に出身地で店舗経営を行わせる「万馬奔騰」計画は、11年に3億人民元(約37億円)を投じたものの、郭台銘董事長がかつて語った「14年までに1万店以上」というペースには全く達していない。既に数十店が店を閉めたほか、昨年10月には杭州支社が閉鎖され上海本部が一括管理することになった。ある元従業員は、赤字の続出は販売店の経営・管理を全く知らない工場労働者が店長になったせいだと指摘した。
オープンから1年の「飛虎楽購」も不調だ。元従業員は、鴻海集団はヒューレット・パッカード(HP)、デル、ソニーなどから生産を請け負っているものの、製品を直接仕入れることはできず、実際にはよそから仕入れて売っていると明かした。このため、取り扱い商品の80%は、価格が他社サイト「京東商城」、「富富網」より高く、競争力を落としていると分析した。
「メディアマルクト」にいたっては、Ton Wortel最高経営責任者(CEO)が就任8カ月足らずで「中国市場は水が合わない」ことを理由に社を去ったと言われている。メトロの出資比率75%に対し、鴻海集団は25%で実際の運営にかかわれず、メトロから小売のノウハウを学べていないようだ。
販路持つ顧客、取り込み困難
市場調査機関IDCのアナリストは、鴻海集団の顧客メーカーの大部分が中国に自社の販路を既に擁していること、および製造業の専門知識が小売業には全く役に立たないことを苦戦の理由に挙げた。ある業界関係者は、鴻海集団が製造業での圧倒的な強さを持っていたことが裏目に出たとして、自信過剰が盲点になったという見方を示した。
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