ニュース 電子 作成日:2012年2月29日_記事番号:T00035650
エルピーダメモリが27日に会社更生法の適用を申請し、同社と関係が深い台湾DRAM業界に衝撃が走った。台湾サプライチェーンは今後の受注縮小が予想される上、売掛金95億台湾元(約260億円)に回収不能の懸念がある。ただ経済部は、エルピーダがすぐさま生産を打ち切ることはなく、産業界への影響は大きくないと指摘。米マイクロン・テクノロジーを合わせた日米台が連合して韓国に対抗する構図は変わらないと強調した。29日付経済日報などが報じた。

エルピーダ向け製品が売上高に占める割合は、エルピーダが64.7%出資するDRAMメーカー、瑞晶電子(レックスチップ・エレクトロニクス)が100%、パッケージ・テスティング(封止・検査)の力成科技(パワーテック・テクノロジー)は60%、華東科技(ウォルトン・アドバンスト・エンジニアリング)は10~20%。エルピーダが裁判所の監督の下、今後、事業を大幅に縮小し、現金取引のみとなれば、3社の売上高が打撃を受けるのは必至だ。
エルピーダに対する売掛金は、▽パワーテック、45億元▽レックスチップ、40億元 ▽ウォルトン、5億1,000万元▽漢民微測科技(エルメス・マイクロビジョン)、4億1,500万元──。
パワーテックは、現時点で会社の経営やキャッシュフローに問題はなく、債権保全手続きをとるため弁護士と協議中だと表明した。レックスチップは現在、エルピーダへの出荷を停止しており、今後は現金取引に切り替える予定だ。既に銀行団に債務繰り延べも打診している。
力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)は、エルピーダの財務危機から、昨年末以降は同社に出荷しておらず、売掛金はないと説明した。華邦電子(ウインボンド・エレクトロニクス)も売掛金はないと表明した。
台プラ、マイクロン中心に統合を
南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)を傘下に持つ台塑集団(台湾プラスチックグループ)は、幹部が経済部に対し、提携パートナーのマイクロンを中心としたDRAM産業統合への支援を求めたとの観測が出ている。南亜科技とイノテラは28日、これについてのコメントを差し控えた。ただ経済部の関係者は、マイクロンに日米台連合での韓国対抗を主導する意欲があり、この提携方法は可能性があると語った。
一方、行政院経済建設委員会(経建会)の尹啓銘主任委員は28日、今や日台提携は双方に利がなくなったと、2008年の提携破談を引き合いに指摘した。当時、世界金融危機でDRAMの生産能力が過剰となったことから、台湾政府主導で台湾創新記憶体(TIMC)を設立し、エルピーダの技術支援を受けて台湾の業界再編を図ろうとしたが、実現しなかった経緯がある。
TDR、3月末に上場廃止
なお、台湾証券交易所(台湾証券取引所)は、エルピーダの台湾預託証券(TDR)が29日から現物株式、現金による取引が義務付けられる「全額決済株」に変更され、3月28日に上場を廃止すると発表した。
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