ニュース 電子 作成日:2012年3月1日_記事番号:T00035678
力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)は29日、経営破綻したエルピーダメモリとの台湾合弁DRAMメーカー、瑞晶電子(レックスチップ・エレクトロニクス)の株式9.3%を手放した。一方で黄崇仁董事長は、レックスチップの製品販売に協力し、事業維持を全力で支援すると表明。また、パワーチップ、レックスチップともに技術を失う懸念はないと説明し、エルピーダ破綻の危機への対応に力を尽くす姿勢を強調した。1日付蘋果日報などが報じた。
パワーチップは同日、半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)の力成科技(パワーテック・テクノロジー)に対し、レックスチップ株とファウンドリーの子会社、鉅晶電子(マックスチップ・エレクトロニクス)株を売却した。取引額はそれぞれ38億5,000万台湾元(約106億円)、15億300万元。パワーチップはこれにより、レックスチップへの出資比率を21.3%に引き下げた。パワーテックは持ち株比率9.3%の3位株主となった。また、マックスチップ持ち株比率は36.36%となった。
譚仲民パワーチップ副総経理は、処分した2社の株式はパワーテックに対する買掛金の担保だと説明した。このことから、両社の契約内容はエルピーダ破綻前に取り決められていたとみられる。
ただ、パワーテックは売上高構成比60%をエルピーダが占めるとされ、パワーテックの筆頭株主のキングストン・テクノロジーが、DRAM供給および封止・検査の受注を確保する目的でレックスチップ株の取得を決めたとの観測も出ている。
25ナノまで開発成功
黄パワーチップ董事長は、既に製造プロセス30ナノメートルで試験生産を始めており、エルピーダが25ナノ開発にも成功しているため、パワーチップ、レックスチップとも今後2~3年は技術を失う懸念はないと強調した。また、パワーチップはエルピーダに1,000万元の貸しがあるが、エルピーダから特許ライセンス7,000万元の借りがあるため、エルピーダ破綻の影響は小さいと語った。
レックスチップ、財務が不安
一方レックスチップは、昨年8月以降の製品すべてがエルピーダ向け販売となっていたと表明。しかも、年内に償還期限を迎える債務が153億元に上る一方、手持ちの現金は58億元しかない上、エルピーダに対する売掛金40億元以上に担保がないことを明らかにした。
レックスチップ向け債権を持つ銀行は、レックスチップが既に経済部工業局に対し救済措置を申請しており、半年間は利息のみの返済が認められるとの見方を示した。
経済部、支援窓口を設置
エルピーダ破綻で台湾サプライチェーンに技術移転の問題のほか、売掛金の回収不能や受注縮小などの悪影響が懸念される中、施顔祥経済部長は、技術、資金援助、サプライチェーン統合の3方向からDRAM産業を支えると表明した。経済部は29日、エルピーダ破綻による台湾企業への打撃を低減するため、工業局で支援のワンストップ窓口を設けると発表した。
TDR価格、3分の1以下に
エルピーダの台湾預託証券(TDR)は1日、前日に続いてストップ安となって6.08元まで値を下げ、発行時の21.3元の3割以下の水準に落ち込んだ。台湾証券交易所(台湾証券取引所)は、エルピーダのTDRは上場廃止となる3月28日まで返却できると指摘した。行政院金融監督管理委員会の関係者は、エルピーダがTDR発行時に上場廃止の際には台湾の規則に従うと承諾しており、TDR買取価格は16元を下回らない計算だと語った。
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