ニュース 電子 作成日:2012年3月3日_記事番号:T00035731
ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が、張忠謀董事長(80)の後継者選びを再開した。同社は2日、執行副総経理兼共同営運長(COO)に3人の幹部を昇任させる3月5日付人事を発表した。2009年に執行長(CEO)に復帰した張董事長は早ければ今年6月、遅くとも14年には執行長を退くとみられる。世界金融危機で立ち消えとなった後継者問題を、ハイテク大企業が再考すべき時期が到来したようだ。3日付蘋果日報などが報じた。
「台湾半導体の父」張忠謀TSMC董事長。後継者選びに時間をかければ、その間組織が不安定になりやすいとの懸念も聞かれる(中央社)
張董事長は、今回の人事は後継者選びを念頭に置いていると認めた。ただ必ずしも3人の中から選ぶとは限らないと付け加えた。また自身の執行長復帰は3~5年限定という計画に変更はないと語った。
2005年5月に蔡力行氏が執行長に就任して以降、空席となっていた営運長に就任するのは、▽蒋尚義・研究発展資深副総経理▽劉徳音・営運資深副総経理(12インチウエハー工場担当)▽魏哲家・業務開発資深副総経理──。2日に開催した、同社としては異例の臨時董事会で決議した。
同社広報は、張董事長直轄の財務と法務以外の組織で3人が責任者を務めると説明した。これに伴い、財務と法務以外の部門は、▽研究開発(R&D)▽運営▽その他(執行長の戦略アシスタント、事業計画策定、マーケティング、品質管理など)──の3ブロックに分けられる。3人の共同営運長は3つの組織を6カ月ごとに交代で担当して技術、製造、管理の経験を積み、張董事長が評価を下す。執行長が引き継がれるのは、一巡する18カ月後の来年9月以降というのが順当な見方だ。後任は1人のみ、それとも2人以上の共同運営かというメディアの質問に、張董事長は「時期尚早」と回答を避けた。ただ蒋氏は既に年を取っているため、業界からは劉氏、魏氏のどちからかが最終的に選ばれるとの憶測が出ている。
鴻海・クアンタ・ASUSも
張董事長が蔡氏に代わり執行長に復帰した翌年の10年、TSMCは売上高、利益ともに過去最高を更新した。売上高に至っては今年まで3年連続の過去最高更新となる見通しで、株式の時価総額2兆台湾元(約5兆5,500億円)台回復も見込まれる。それほどの優れた手腕を持つ張董事長であるがゆえに、後継者選びは積年の課題で、前回の失敗の轍を踏まないよう今度は入念に見極める考えのようだ。
台湾ハイテク業界では、EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手、鴻海精密工業の郭台銘董事長が08年、後継者選びを棚上げし、10年2月には「あと10年は引退しない」と宣言した。ノートパソコン受託生産大手、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)の林百里董事長も09年1月、華碩電脳(ASUS)の施崇棠董事長も同年2月に第一線に復帰している。TSMCが後継者選びを再開したことで、他のハイテク大手も同問題に改めて取り組むのか注目される。
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