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成長促進剤使用の米牛肉、解禁へ


ニュース 農林水産 作成日:2012年3月6日_記事番号:T00035786

成長促進剤使用の米牛肉、解禁へ

 行政院は5日、成長促進剤「ラクトパミン」(通称、痩肉精)添加飼料で飼育した牛肉の輸入を、▽安全な残留量(ラクトパミン以外の成長促進剤検出は認めない)▽産地表示の義務付け▽内臓の除外──の条件付きで解禁する方針を発表した。豚肉は解禁しない。政府は当初、政策への支持の高まりを待って発表に踏み切る予定だったが、解禁を求める米国が米台間の貿易投資枠組み協定(TIFA)締結交渉中止をちらつかせたり、商務省次官の訪台を延期するなど圧力を強め、さらに最近、鳥インフルエンザ発生の隠ぺい疑惑が浮上するなど政府への逆風が強まる中、早めの解禁表明が得策との考えに至ったようだ。6日付中国時報などが報じた。


解禁案が立法院で認められた場合、民間では米産牛肉回避の動きが起きそうだ。サーロインステーキ肉から成長促進剤が検出された「闘牛士」豊原店(台中市)は、当面、米産牛肉を提供しないことを決めた。(5日=中央社)

 解禁実現に向け行政院は今後、「食品衛生管理法」の改正を目指す構えで、立法院で与党議員を含む反対派との激しい攻防が見込まれる。楊永明行政院報道官は、部会(省庁)間技術諮問専門家会議での「現段階でラクトパミンを使用した牛肉が人体に有害との科学的根拠はない」との結論を挙げた上で、輸入解禁後は量販店、スーパーマーケットだけでなく、レストランなどの飲食店でも牛肉の生産地をはじめとする必要な情報の提示を義務付けるなど、消費者権益の保護に向けた管理を強化する方針を示した。 

 また陳冲行政院長は「国民の健康に懸念がないとの前提の下、国内畜産業の発展、国際貿易など台湾の長期的な利益を図るのがわたしの責任だ」と語った。

 5日午前、陳行政院長は馬英九総統に行政院での検討の経過を報告。午後には行政院、立法院の関係者を集め、外交部、経済部、行政院農業委員会(農委会)、衛生署のトップにより、国民党立法院党団にラクトパミン使用の米産牛肉に対する科学的な論証の結果、経済、外交上の影響の説明がなされた。

 その上で国民党は同日夜、党内に成長促進剤の残留を認めることに反対する議員もいる中、政府、立法院の協力の下、遅くとも1カ月以内に行政院が提出する「食品衛生管理法」改正案への一本化で意見集約を図る方針を確認した。

反対派の動きに注目

 ただ、黄昭順立法委員など3人の解禁反対派国民党議員が、先ごろ提出した成長促進剤の検出を認めずさらに管理を厳しくする改正案を撤回しなければ、行政院案も不成立となる可能性もあり、そうなった場合、馬政権の威信が大きく損なわれることになる。

 また民進党をはじめとする野党は「専門家会議の結論も発表されないままに解禁を表明するとは、国民の健康を無視している」などと強く反発している。台湾団結聯盟(台聯)は立法院での決議の際に記名式の投票を提案するとともに、あす(7日)午後に大規模なデモを実施する考えを表明した。