ニュース その他分野 作成日:2007年11月6日_記事番号:T00003585
10月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が5.34%と、過去13年で最悪となった。台風による被害を受けて野菜価格が急騰したほか、食品価格が軒並み上昇。これを受け行政院は5日、当面石油製品の小売り価格の引き上げを行わない方針を発表した。今年の物価上昇に十分対応できていないという政府への批判が高まっており、張俊雄行政院長は政治責任をかけて対策に当たる考えを示した。
石油製品価格の値上げ凍結を発表する陳景峻行政院秘書長(右)生活必需品や食品の値上がりぶりは庶民にとって大きなストレスになっている(5日=中央社)
行政院主計処の5日の発表によると、CPIの上昇率5.34%は1994年10月以来13年ぶりの高水準。台風被害で野菜が78.63%も上昇し、数値を押し上げた。野菜と果物を除いた上昇率は2.62%、さらに魚介類、エネルギー価格を除いた核心(コア)物価の上昇率も2.27%だった。
10月は食料品の上昇が目立ち、野菜のほか、卵(19.06%)、乳製品(11.08%)、肉類(9.68%)、果物(8.25%)、魚介類(6.01%)なども軒並み値上がりした。しかし、一部には便乗値上げも見られ、批判の的となっている。
総合的な物価対策を検討
消費者物価の大幅上昇を受け、陳景峻行政院秘書長が緊急記者会見を開催し、石油製品小売り価格を今後引き上げないことを発表した。
石油製品価格は当初、原油価格に連動する現在の価格調整システムが導入された9月以降の値上がり幅が、15%に達した段階で凍結される予定だったが、これを11~12%に引き下げる。この結果、石油価格は最高でも現行水準に据え置かれる。
陳秘書長は「行政院は全力で困難を克服し、物価を安定させる」と語り、「台湾中油の利益は202億台湾元に達し、既に法定利益を超えている。今後石油価格を値下げすることはあっても、現行水準を上回ることはない」と強調した。
行政院の物価安定作業グループは6日に初会合を開き、総合的な物価対策、石油価格凍結などについて協議する。
政権内部からも批判
民進党政権の内部からも物価対策が後手に回っている状況に不満が噴出した。同党立法院党団(議員団)の王幸雄書記長は同日、「現在の物価急騰、社会不安は、政権政党として実力を見せるべき時だ」と述べた上で、経済部が1週間以内に物価安定措置を発表できなければ、陳瑞隆経済部長は辞任すべきだと指摘。
さらに、張俊雄行政院長、施茂林法務部長に対しても、1カ月以内に物価を合理的な範囲に抑制し、買い占めや価格つり上げに関与した業者を摘発できない場合には、辞任すべきだと迫った。
これに対し張行政院長は6日、「物価と石油製品価格の安定は私の責任であり、政治責任から逃げはしない」という考えを示した。しかし、物価対策に失敗した場合、辞任するかどうかについては触れず、「どのような責任の取り方をするかは状況の推移を見て判断する」と語った。
価格操作の取り締まりに本腰
法務部は5日、民生物価の不当なつり上げ行為を防ぐため、検察担当者や関係官庁による対策会議を開いた。李進勇法務部次長は「台風来襲後に各地の検察機関は、民生物資の人為的な便乗値上げなど不法な動きはなかったか監視を強化した。価格操作行為には厳しく対処していく」と述べた。
法務部は、現行法に基づき、不当な価格操作に対しては、刑法の農工商妨害罪、詐欺罪、自由妨害罪、恐喝罪などの適用も視野に入れ、悪質なケースでは逮捕も辞さない方針で臨むことを各地検察署に求めた。最高検察署特別偵察組(特捜班)も動員し、異例の態勢で取り締まりに取り組む。
公平会の姿勢に疑問も
一方、物価の上昇ぶりが統計の上に表れているにもかかわらず、公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)が行った量販店に対する立ち入り検査で、「物価の異常な変動は認められなかった」との見解を示したことにも批判が集まっている。一部報道によれば、公平会は調査実施を事前通知していたことが判明し、その有効性にも疑問の声が上がった。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722