ニュース 社会 作成日:2012年3月13日_記事番号:T00035900
宜蘭県を代表する温泉地、礁渓温泉で、浅層地下から採取する温泉の温度が、過度の取水によってこの10年で10度前後低下したことが宜蘭大学の調査で明らかになり、地元関係者から「このままでは礁渓温泉に明日はない」と危機感を訴える声が出ている。
転機となったのは6年前の雪山トンネルの開通だ。台北との距離が一挙に近くなったことで、温泉を訪れる観光客が激増。商機を当て込んだ業者によって、ホテルをはじめとした温泉関連施設が雨後のたけのこのように林立した。これによって取水量が急増したのだ。
宜蘭大学の江協堂・助理教授は、2008年から温泉が小川になっている湯囲溝公園で温度を計測してきた。一昨年、50メートルの深層地下から採取した水温は52度で以前と変化がなかったが、25メートルの浅層地下からの採取した水温は40度まで下がってしまっていた。宜蘭県の調査では、ある観測井で昨年、4.5度の水温低下が確認された。
礁渓温泉文化協会の王熏総幹事は、数年前、自宅近くに大型の温泉施設が立ち上がった。すると自宅裏の観測井の水位が2メートル下がり、水温は施設建設前の60度から40度まで急低下してしまった。冬季はもはや満足できる熱さではなくなったという。
宜蘭県政府は対策として、公共の深層温泉井を開削して統一料金で業者に提供したり、従来からある温泉井118カ所に水量メーターを設置するなど、料金徴収によって使用量の抑制を図る案を検討している。しかし、公共温泉井案に対しある業者は、「必ず問題が出る。もし供給量が安定せず、水温が不十分であれば県政府は賠償できるのか」と冷めた見方だ。また、県政府は6年前、強制的に温泉水取水料を徴収しようとして行政訴訟で負けた経緯もあり、思惑どおりにいくかは未知数だ。
江・宜蘭大助理教授は「このままでは5年後は40度を下回ってしまうのではないか」と懸念する。温泉の魅力が失せれば、観光地・礁渓の存立自体が危機に陥るとの認識は多くの業者が共有しており、一刻も早い対策案の合意と実行が求められている。
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