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AUO、米カルテル事件で有罪評決


ニュース 電子 作成日:2012年3月14日_記事番号:T00035953

AUO、米カルテル事件で有罪評決

  日台韓の大手液晶パネルメーカーが米国でカルテルを結び、不当に価格を操作していたとして反トラスト法(独占禁止法)違反に問われた友達光電(AUO)に対し13日、米カリフォルニア州北部連邦地裁陪審団により有罪評決が言い渡された。AUOは上訴を表明したが、陪審団は価格操作によりAUOは少なくとも5億米ドルの利益を得たと認定しており、同社側弁護士によると有罪が確定した場合、罰金額は最高で10億米ドルに達する見通しだ。中央社などが14日伝えた。


李董事長は評決に不満を述べつつ、無罪判決などで幹部3人が台湾に戻って来れることには安堵の意を示した(14日=中央社)

 同事件は、台湾のAUO、旧・奇美電子(CMO)、日本のシャープ、韓国のサムスン電子、LGディスプレイ(LGD)などが1996年から2006年にかけて液晶パネル価格の不当操作を行ったとするもので、検察側証人となったサムスンをはじめ、AUO以外のメーカーはいずれも罪を認めて和解を成立させている。

幹部3人は無罪

 裁判において検察はAUO幹部はその他メーカーの代表と高級ホテルで60回以上にわたり会談し、価格操作を行ったと指摘。これにより米国経済に10億米ドルの損害を与えたと主張した。

 AUOおよび幹部5人はいずれも無罪を主張していたが、陪審団は、AUOおよび同社の陳炫彬副董事長、熊暉・佳世達科技(Qisda)総経理(元AUO執行副総経理)を有罪と判断。一方、陳来助・前総経理と李燦栄・高階主管は無罪、梁兆龍・資深経理については起訴を無効とした。

 有罪とされた幹部に対しては、最高で100万米ドルの罰金および懲役10年が下される見通しだ。

潔白の立場変えず

 李焜耀同社董事長は14日午前、台湾証券交易所(台湾証券取引所)で記者会見を開き、評決に疑念に示すとともに、罰金額がどの程度のものになったとしても上訴して無罪主張を続ける考えを示した。 

 李董事長は「陪審団のメンバーでさえ、評決には納得できず、極めて大きな疑問点があると言っている」と不当な結果だと強調。また「証拠は次々に公開されている。事実は米法務省の指摘とは異なる。当時、当社の代表は台北で開かれた『水晶会議』に出席してライバル社と情報交換は行ったが、カルテル行為はしていない」と説明した。 

 AUOは李董事長の記者会見に先立って声明を発表し、「米国側証人の多くが自身には価格交渉権が与えられておらず、談合などは行われなかったと証言した」と強調している。また米国側証人が当時の話し合いで決まったとする価格は実際の取引価格とは異なり、しかも01〜06年におけるAUOの受注価格は会議で決まったとされる価格を常に下回っていたとして、有罪の不当性を訴えた。

業績への影響は評価困難

 AUOはまた、上訴を行う理由として「台湾で行われた会議で発生したいかなる事情も米国の法律の管轄内に含まれるのか」という重要な法解釈に陪審員が答えていないことを挙げた。

 なお、陪審評決による業績への影響について李董事長は「評価は困難」と述べた。陳柏如同社助理法務長によると、AUOは近年、米国での売上高が全体の2〜3割を占めている。