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京華城が存続危機、3年後に判断


ニュース 商業・サービス 作成日:2012年3月15日_記事番号:T00035980

京華城が存続危機、3年後に判断

  大型ショッピングセンター、京華城(リビング・モール、台北市松山区)が存続の危機に陥っている。2割近く出資する筆頭株主、中華工程(BESエンジニアリング)の蔡維力総経理は14日、今後3年も黒字転換できなければ再開発もやむを得ないと発言した。2001年のオープン当初は1日50万人が来店して盛大なにぎわいを見せたが、今や閑古鳥が鳴き、テナントの出店希望もない。周辺開発に合わせて高級マンションに生まれ変わる可能性がある。15日付聯合報などが報じた。


新光三越や統一阪急など百貨店が林立する信義計画区と異なり、京華城は住宅に囲まれている(15日=YSN)

 京華城は01年11月の開店時、台湾最大のショッピングセンターかつ世界最大の球形建築が話題となり、投資した威京総部集団(コア・パシフィック・グループ)の創業者、沈慶京氏は年間売上高200億台湾元(約570億円)に挑戦すると豪語した。一方、この15年で120億元以上の銀行融資を受け240億元を注ぎ込んだものの、昨年の売上高は23億元と低迷している。今年1~2月は前年同期比16%の減収だった。この間、金利とビルの減価償却費が大きな負担となり、09年に一度損益均衡を達成したものの、依然赤字から脱却できていないようだ。

 蔡BES総経理は、利益が出せれば建て替えるとは限らないとも語った。京華城は、建て替えに関して意見はなく、ただテナント誘致に努力するのみと表明した。客足の伸び悩みに関しては、都市交通システム(MRT)の駅が近くにないことが最大の課題と分析した。その上で、台北市の信義計画区、東区商圏、中山区、天母区などは複数の百貨店が立ち並び、集積効果が見込めるが、松山区の商業施設は京華城しかないと指摘した。

 京華城は地上12階、地下7階建て(地下4~7階は駐車場)で、敷地面積は5,000坪。百貨店やレストランのほか、映画館やナイトクラブを併設し、一部店舗は一時24時間営業していた。最寄りのMRT板南線国父紀念館駅、市政府駅までは徒歩15~20分かかるため、無料シャトルバスを運行しているが、生活の足として来店客以外が乗車するケースも多い。

立地は好感、高級住宅開発か

 蔡BES総経理は、京華城の経営は苦しいが、立地は好感していると語った。周辺での台北文化体育園区(通称・台北ドーム、松山たばこ工場跡地)の建設、台湾鉄路(台鉄)整備工場移転後の再開発、南京東路を走るMRT松山線の開通などで、3年後には用地の価値が高まるとの見方だ。再開発の準備のために、京華城は昨年、現在は都市計画で認められていない「住宅」を利用用途に加えるよう台北市政府に申請したとみられている。台北市政府関係者は、現在検討中と語った。

 不動産仲介大手、信義房屋仲介の蘇啓栄・企画研究室経理は、3年後に台北ドームなどの新たな施設が完成すれば、その中に百貨店や観光ホテル、オフィスビルができ、京華城を運営し続けてもプラスに働くことはないと指摘している。

 なお蔡BES総経理は、一昨年落札した台北市信義区の宿泊・会議施設、亜太会館(アゴラガーデン)を早ければ4月に取り壊し、建築許可を取得して下半期にも着工すると語った。市場では、1坪300万元以上の高級住宅に建て替えられると観測されている。