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米韓FTA発効、台湾に打撃34億ドル


ニュース その他分野 作成日:2012年3月16日_記事番号:T00036007

米韓FTA発効、台湾に打撃34億ドル

 米韓自由貿易協定(FTA)の15日発効を受けて、台湾の輸出に34億米ドルの打撃を与えるとの試算が経済部工業局から示された。対米輸出の9.8%に相当し、特に石油化学製品、機械、紡織などへの影響が深刻だ。韓国は昨年7月に欧州連合(EU)とのFTAを発効させ、今年5月には日中韓FTAの交渉に入るとされている。施顔祥経済部長は、海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)の後続交渉、シンガポールやニュージーランドなどとの経済協力に関する協定で韓国に追い付くと表明した。16日付工商時報などが報じた。


連玉蘋・経済部工業局組長(左)。経済部はこれまで、輸出貨物の製造用原料の戻し税復活などの米韓FTA対策を講じている(15日=中央社)

 連玉蘋・経済部工業局組長は15日の立法院で、2010年の対米輸出は台湾が344億米ドルで、韓国が478億米ドル、台韓がともに輸出していた2,489品目に米韓FTAでゼロ関税が適用されると指摘した。

 米国の関税が昨年平均4.14%だった石化製品(エポキシ樹脂、ABS樹脂など)は、韓国製品がゼロ関税となれば、台湾は2,938万米ドル(石化製品の対米輸出の25.64%相当)を韓国に奪われると予測されている。

 機械産業(旋盤、マシニングセンターなど)は6,613万米ドル(同4.72%)、紡織類(靴・靴下・バッグ・アパレル製品など)は5,960万米ドル(同5.15%)の影響が見込まれている。

中国市場死守、ECFA強化を

 石化業界団体、台湾区塑膠原料工業同業公会理事長の洪福源・台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)総経理は、米韓FTA発効によって、米国やブラジルなど中南米向け石化製品の輸出で、最終的にはゼロ関税となる韓国製品との価格競争に巻き込まれると懸念を示した。日中韓FTAの交渉入りを見越し、ECFA後続交渉が長引けば、重要輸出先である中国市場でも競争力を失うと訴えた。

 機械業界団体、台湾区機器工業同業公会(TAMI)の王正青総幹事は、EUの工作機械に対する関税は2.7%だが、米国は4~5%で、より大きな打撃が予想されると指摘した。中国市場では韓国に追い付かれないよう、ECFA後続交渉を早急に進めるよう政府に求めた。

 紡織業界団体、中華民国紡織業拓展会(紡拓会)の黄偉基秘書長も、ECFAの関税引き下げ品目を一刻も早く増やすよう政府に呼び掛けた。台湾の紡織製品の輸出先は中国、東南アジアが7割以上を占める。 

欧洲商会、「EUとの協定加速を」

 行政院経済建設委員会(経建会)の尹啓銘主任委員は、米韓FTA発効で、韓国の経済成長率が10年以内に5.7%に達し、特に従来型産業が打撃を受けると指摘した。台湾は地域経済統合で韓国に後れを取っているため、主要輸出先との経済協力の協定締結を急ぐ必要があると述べた。

 米韓FTA発効の前日14日、在台欧州企業で組織する台北市欧洲商務協会(欧洲商会、ECCT)の江孟哲理事長は、EUとの貿易振興措置協議(TEM)研究を加速させ、早急に締結して貿易障壁を取り払うよう呼び掛けた。 

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