ニュース 社会 作成日:2012年3月21日_記事番号:T00036061
台湾を訪れて間もない日本人が街の風景を見て違和感を感じるものの一つに、古いマンションやアパートの違法建築がある。家主が好き勝手に窓やベランダを改築しているため、集合住宅の外観に統一性がないだけでなく、危険極まりないのが実情だ。しかしこの違法建築、数が多すぎてなかなか撤去が進んでいないようだ。
新北市三重区で5階建てアパートの4階に住む陳さんも、5階の住人が屋上に家を建て、植木が茂る「空中庭園」まで造っていることに頭を悩ませている。おそらくその重みのせいで建物がゆがみ、室内にひびが入っているからだ。陳さんは違法部分を撤去してもらいたいと市に通報したが、「すぐ撤去させたければ訴訟しかない」と言われ、2010年に民事訴訟を起こし勝訴した。
しかし5階の住人は取り壊しを拒否、陳さんは強制執行を申請したが、結局、通報から4年間放置されている。
なぜそんな理不尽な話がまかり通ってしまうのか。理由は違法建築が多すぎることにある。新北市では現在17万件が撤去待ち状態。なぜなら同市では違法建築の通報があると緊急度が高い順にA~Dの4種に分類される(Aは優先撤去、Bは政府の審議で判断、C、Dは公共安全への影響の度合いで分類)が、案件のほぼ9割がCとDに当てはまるため、強制執行が追いつかないのだ。
1年に1万件取り壊せたとしても17年かかってしまう。しかも分類の基準があいまいで、上記の陳さんの通報はなぜかDに。屋上の建造物と陳さんが訴える歪みやひびの明らかな関連性を示す証拠が不十分とのことだ。
違法建築がいつまでも野放しとなっていることから、内政部はこのほど建築法の改正案をまとめた。これが可決されると、今後古い住宅の売買において違法部分はあらかじめ撤去しなければならなくなるので、将来台湾から違法建築が徐々に姿を消していくかもしれない。
日本と同じく地震の多い台湾、法改定を機に住居の安全性が増し、同時に街の美観も取り戻されていくとよいのだが。
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