米グーグルは現地時間の5日、携帯電話向けの包括的オープンプラットフォーム「アンドロイド(Android)」を発表した。音楽ダウンロードやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など多様な携帯電話サービスに対応し、無償ソフトのためスマートフォンの価格低下を促進する役割を担うと言われている。「アンドロイド」開発に当たる「オープン・ハンドセット・アライアンス(OHA)」34社に台湾メーカーとして唯一参加した宏達国際電子(HTC)の周永明執行長(CEO)によると、世界初のアンドロイド・プラットフォームのスマートフォンは同社が生産し来年下半期に発売となる。6日付工商時報などが報じた。
同社は2年前よりグーグルと共同でアンドロイドの研究開発(R&D)に着手し、OHAの中では、モトローラ、サムスン、LGと並ぶ機器開発メーカーとして名前を連ねている。周執行長によると、アンドロイド・プラットフォームのスマートフォンのブランドは、HTCとなるか通信キャリアとなるか、またはグーグルとなるかは現時点で協議中だ。 携帯電話のOSはノキアとソニー・エリクソンが採用している「シンビアン(Symbian)」が大きなシェアを占め、米マイクロソフトの「ウインドウズ・モバイル」が台頭してきている。
この市場に打って出るアンドロイドは、リナックスのオープンプラットフォームを使い、携帯メーカーやソフトメーカーがライセンス料を支払わず無償で利用できることが大きな特徴だ。これについて周執行長は、「携帯電話業界に独自性の高い開発を促すだろう」と予測している。携帯メーカーにとってはアイディアと開発力が問われることになりそうだ。
「100ドルスマートフォン」、実現か
OSが無償になることで、スマートフォンの価格低下が促進されそうだ。
OHAに参加した米クアルコムのジェイコブズCEOは、アンドロイドのリソースで新型通信チップを製造し、当面スマートフォンの価格を200米ドル以下に下げることを目標にしている。現在、スマートフォンは安いものでも約300米ドルはするという。
なお、グーグルのシュミットCEOはかつて、「広告収入をベースにした携帯電話サービスを実現し、携帯電話料金を無料にすることが目標」と語ったことがある。無料通話が簡単に実現するかどうかは分からないが、業界の専門家は「スマートフォンは、今後100米ドル程度まで価格が下がるだろう」と予測している。
10月売上高が過去最高
宏達は6日、10月の売上高を発表した。売上高は前月比約25%増、昨年同月比22.28%増の131億台湾元(約461億円)で過去最高となった。今年1月から10月までの累計売上高も昨年同期比6.43%5増の926億7,000万元に達した。クリスマスシーズンを迎える11月も引き続き過去最高を記録するとみられ、第4四半期は累計350億元、通年で1,000億元の大台を目指す。
外資系証券会社は、宏達のアンドロイド参加について、「ソフトやアプリケーション設計の応用力が向上する。ライバルメーカーとの距離を広げるのに有利」と歓迎している。