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中国がパネル優遇関税撤廃、台湾に打撃


ニュース 電子 作成日:2012年3月23日_記事番号:T00036141

中国がパネル優遇関税撤廃、台湾に打撃

  中国財政部が22日、32インチ以上の液晶パネルに対する関税の暫定税率3%を廃止し、4月1日から5%を適用すると発表した。韓国が今後中国と自由貿易協定(FTA)を締結してゼロ関税のメリットを得る可能性が予想される中、台湾も海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)によって優遇関税を早急に勝ち取る必要性が高まった。23日付工商時報などが報じた。

 経済部関係者によると、32インチ以上の液晶パネル(バックライトモジュールを含まない)は対中輸出全体の13%を占める。中国のテレビメーカーは台湾と韓国からパネルの大部分を調達しており、昨年11月統計によると中国テレビブランド大手6社の調達先は、▽奇美電子(チーメイ・イノルックス)、30%▽友達光電(AUO)、21.9%▽LGエレクトロニクス、21.7%▽サムスン電子、20.2%──。

 経済部工業局の関係者は、ECFA後続協議、両岸経済合作委員会(経合会)傘下のワーキンググループ「産業合作小組」、両岸産業搭橋専案(両岸産業懸け橋プロジェクト)など、さまざまな交渉の場を利用して中国から好条件を引き出すと対応策を述べた。台湾と韓国は中国で同じ関税率が適用されるが、最終製品まで手がける垂直統合型の韓国が中国テレビメーカーと競合関係にあるのに対し、台湾は中国と相互補完性があり有利だと強調した。

中国メーカー保護、税率10%も

 中国では昨年6月末に京東方科技集団(BOE)の8.5世代パネル工場が、8月にはTCL集団の8.5世代工場が稼動した。現在は32インチ、46インチなど基本サイズのみだが、将来的には携帯電話用の1.7インチからテレビ用55インチまで幅広いパネルの生産を目指す。中国政府はこうした中で、中国パネルメーカーが輸入製品に対抗できるよう、パネルの優遇関税を取りやめたとみられる。

 パネル調達コストが上がれば中国製テレビの輸出に影響が出るとの声もあり、小幅な引き上げに収まったが、業界関係者は今後8~10%まで引き上げられる可能性もあると指摘した。

 AUOの彭双浪総経理は先日、中国が関税を引き上げてもAUOが計画する江蘇省昆山市の第8.5世代工場で量産開始を急ぐ必要はないと述べた。昨年から技術力向上で3D(3次元)映像対応など高規格化や新サイズ開発などの対策を講じており、差別化で影響を軽減できるとの見方だ。奇美電も39インチや50インチなど新サイズ投入に注力する戦略だ。

【図】