ニュース 電子 作成日:2012年3月28日_記事番号:T00036223
EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手の鴻海科技集団(フォックスコン)は27日、シャープに9.88%出資すると発表した。これによりシャープの筆頭株主になる。シャープ堺工場(堺市、第10世代)にも郭台銘・鴻海董事長の個人名義などで46.5%出資し、液晶パネル、モジュールを早ければ4月から、最終的には50%を引き取る。鴻海の目的はシャープのテレビ組み立て受注に加え、ハイエンドパネル確保によるアップルとの関係強化とみられている。28日付工商時報などが報じた。

シャープの発表によると、第三者割当増資(払込期間5月31日~)を鴻海精密工業、鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)など鴻海集団4社が669億円で引き受け、出資比率を合計9.88%とする。堺工場の運営会社、SDP(シャープディスプレイプロダクト)は現在シャープが93%、ソニーが7%出資しているが、シャープが持ち株の半数を郭董事長とその投資会社に660億円で譲渡する予定だ。
シャープは、液晶テレビの生産委託など良好な関係を築いてきた鴻海集団との戦略的資本提携でグローバルな垂直統合を実現し、液晶テレビのコスト競争力向上、大型液晶パネルの供給先確保が図れると指摘した。
郭董事長は、世界的なブランド力と一流の技術開発力を擁するシャープと、強大なサプライチェーンによる製造力を持つ鴻海集団ならば競争力を効果的に補完し合うことができると強調した。鴻海広報は、将来的にはシャープが鴻海にも出資し、株式を持ち合う可能性もあると表明した。
アップル製品、日本部品で台湾製造へ
鴻海集団のシャープへの出資は証券業界でおおむね評価されている。
麦格理資本証券(マーキュリー)の張博淇・台湾地区研究部主管は、鴻海集団は液晶パネル大手、奇美電子(チーメイ・イノルックス)を擁しながらも、経営が苦しいシャープに出資するリスクを十分に承知しているが、アップルが開発中とされるテレビ受注を見込んで決断したと分析した。アップルはテレビで当初、サムスン電子が得意とするアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)パネルでなく、シャープの酸化物半導体(IGZO)パネルを採用するとの予測が業界関係者から出ている。
張主管は、アップルが多くの重要部品を韓国メーカーから調達する現在の状況は長くは続かず、既に最新技術のパネルでシャープや東芝などと提携し始めており、鴻海集団は今後アップルサプライチェーンにおいて重要性をさらに高めるとの予想を示した。
シャープ堺工場では、第10世代ガラス基板から60インチ以上の超大型パネルを切り出すことができる。60、65インチの大画面テレビ用パネルは、ちょうど奇美電が欠いていたサイズだと市場調査会社、ディスプレイサーチは指摘した。
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