ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

鴻海のシャープ出資、アップルが影武者?


ニュース 電子 作成日:2012年3月29日_記事番号:T00036249

鴻海のシャープ出資、アップルが影武者?

  鴻海科技集団(フォックスコン)がシャープと資本提携を結んだ影にアップルが見え隠れする。証券会社が指摘するのは、アップル製品の組み立てだけでは満足できなくなった鴻海が、スマートテレビ「iTV」に酸化物半導体(IGZO)技術採用の液晶パネルを選択するアップルの意図をくみ、IGZOパネルでリードするシャープに出資することでiTVの一貫生産サービスを実現し、粗利益率の大幅向上を図るという筋書きだ。29日付経済日報などが報じた。

 郭台銘・鴻海董事長の個人名義などで46.5%の出資を行う第10世代液晶パネル生産ラインのシャープ堺工場は、CLSAアジア・パシフィック・マーケッツ(里昂証券)のアナリストによると、9月中旬まで設備稼働率を50%に引き下げたままとし、一般のテレビには向かないがスマートテレビに適している超高解像度(UD)のIGZOパネル生産に転換を図る。アップルはこのIGZOパネル搭載で「iTV」に独自性を出し、サムスン電子やLGエレクトロニクスを引き離す構想だという。

また、アップルは今後小型製品には次世代技術の横電界(IPS)パネル、低温ポリシリコン(LTPS)パネルを搭載する考えで、シャープにはこれら技術と生産能力をすべて擁している強みがある。

韓国対抗、日米台の新機軸

 ある業界関係者も、シャープ第8世代ラインはアップルが既に出資し、スマートフォン「iPhone」やタブレット型パソコン「iPad」向けパネル専門ラインとなっている上、シャープ第10世代工場もアップルに促される形で鴻海が出資して「iTV」向けパネル生産の準備が進められていると指摘。これにより、日米台連携による韓国への反撃が始まったと強調した。

 証券会社は、鴻海にとっての意義は韓国勢への対抗だけでなく、川上部品にまでサプライチェーンを広げることで、粗利益率を引き上げられることだと指摘した。

株式時価総額、622億元増

 鴻海のシャープ出資発表を受け、施顔祥経済部長はパネル技術の向上および出荷先の拡大に貢献すると評価した。馬英九総統は、海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結後、台日産業合作搭橋方案(日台産業提携懸け橋プラン)を推進して日台企業の相互出資を奨励する中で、喜ばしい知らせだとコメントした。陳沖行政院長も、企業が独自に将来の発展と戦略を考えた適切な一歩だと述べた。

 台湾株式市場では28日、鴻海精密工業やカバーガラスの正達国際光電(Gテック・オプトエレクトロニクス)など、鴻海集団の株式時価総額が622億5,700万台湾元(約1,740億円)増加した。シャープがアップル向けパネル3大サプライヤーの1社で、鴻海がアップル製品の重要な受託生産パートナーであることから、鴻海集団各社にアップルからの受注増がもたらされると好感された。

【表】