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TSMC、20ナノを来年量産


ニュース 電子 作成日:2012年4月10日_記事番号:T00036444

TSMC、20ナノを来年量産

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は9日、2013年末から製造プロセス20ナノメートルで受注し、量産に入ると表明した。従来計画の14年量産より大幅な前倒しで、同社に先駆け来年の20ナノ受注・量産開始を表明していたサムスン電子と正面対決する。生産規模での首位の座を固めるべく同日、南部科学工業園区(南科)の12インチウエハー工場、Fab14の第5期拡張工事に着工した。10日付経済日報などが報じた。


張忠謀TSMC董事長(右2)は、執行副総経理兼共同営運長(COO)に先月就任した3人の後継者候補について「まずまずだが、評価を下すのはまだ早い」とコメントした(9日=中央社)

 Fab14第5期の着工式典に出席した蒋尚義・執行副総経理兼共同営運長(COO)によると、同工場では新竹科学工業園区(竹科)で研究開発(R&D)している20ナノプロセスで今年末から来年初めにかけて試験生産に入り、量産スケジュールは顧客の需要に応じて決める予定で、早ければ来年末を見込む。

 Fab14第5期は、同社12インチ工場で最大規模の月産能力24万枚を予定し、20ナノ以降の先端プロセスは同3万枚と計画している。Fab14第5期に続く第6期拡張工事を合わせると、投資額は3,500億台湾元(約9,700億円)に上り、就業機会4,500件の創出を見込む。第5~6期合計の生産額は第1~4期と同規模の1,800億元の見通しだ。Fab14は現在、従業員4,600人、生産能力が四半期ベースで55万枚の世界最大の12インチ工場で、同社の昨年売上高の42%を占めた。

 TSMCが擁する12インチ生産拠点は南科Fab14に、新竹科学工業園区(竹科)Fab12、中部科学工業園区(中科)Fab15を合わせた3カ所で、今年末時点で月産能力は40万枚を超える計画だ。これは、サムスンの2倍以上に相当する。

設備投資、引き上げ表明

 張董事長は、20ナノ量産計画を前倒しする上、28ナノの需要も非常に強いため、今年の設備投資額の上方修正を決めたと語った。実際の金額は26日の決算説明会で発表する。今年の設備投資計画は現在60億米ドルで、証券会社は少なくとも68億~70億米ドルに13~17%引き上げると予測している。

 また張董事長は、ここ数カ月間の受注が過去最高に届きそうなほど好調で、3~4カ月後まで見通しが立っているため、第2四半期の業績は期待できると語った。工商時報によると、需要に応じきれないほどで、同期の一部受注が聯華電子(UMC)や世界先進積体電路(VIS)に流れているようだ。

 このほか、インテルのファウンドリー市場参入で受注が奪われるという観測に対し、張董事長は「同社の参入は特定分野に限られる」と指摘した。

 ガソリン値上げや、電気料金引き上げ計画の影響に関しては、生産コストが1~2%増える程度で大きくないと述べた。これに伴いハイテク各社の賃上げ表明が相次ぐ中、張董事長は同社は毎年4月に基本給を調整しており、今年も引き上げを行うと表明した。引き上げ幅については説明を避けたが、4%以上が予想されている。

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