ニュース 公益 作成日:2012年4月11日_記事番号:T00036471
原油価格上昇などにより台湾電力(台電)で巨額赤字が続いているため計画されている電力料金の値上げ案が、大詰めの段階を迎えている。経済部案によると、値上げ幅は、工業用が平均30%、商業用が20%、一般家庭用が10%以上となる。使用電力量が多いほど上げ幅を大きくする方針のため、大口顧客である電子、鉄鋼、セメント、紡織、製紙大手は35%以上の値上がりが予想されているほか、コンビニエンストアをはじめ商業分野にも打撃となり、物価上昇につながるとの懸念が出ている。11日付経済日報などが報じた。

電力値上げは5月に1回で行われる可能性が高まった。物価高招来は確実な見通しだ(9日=中央社)
台電は9日、「長期にわたり電力料金をコスト以下に抑えてきたため、当社は2006年以降赤字が続いており、値上げしなければ今年も1,000億台湾元(約2,700億円)を超える損失を計上することになる」との声明を発表した。
工業用、オフピークは7割上昇も
経済部案によると、工業用電力のうち値上げ幅が最高となるのは、夏季電気料金適用期間中(6〜9月)以外のオフピーク時間帯における利用で67.2%に上る。オフピーク時の電力は主に原子力発電および石炭による火力発電によって作られるため、近年のアジア太平洋地域における石炭価格上昇を反映して上げ幅も大きくなると関係者は指摘している。

また、商業用電力では小吃(台湾式軽食)店や服飾店など1カ月の使用量が1,501キロワット時(kWh)以上の店舗の場合、夏季電気料金適用期間中(6〜9月)料金が39.3%値上げ、それ以外の期間が42.3%値上げで計画されている。
値上げにより最も大きな影響を受けると予想される24時間営業のコンビニ業者は、商業用電力が15%値上がりすると、コンビニ大手4社の合計約9,700店舗全体で5億元を超えるコスト上昇につながると指摘した。このほか理髪店、パン屋、小吃店などからも「電気代が上がれば、商品の価格を値上げせざるを得ない」との声が上がっている。
物価上昇、08年より深刻化も
11日付自由時報は、2008年5月以降にガソリン、電力料金が相次いで値上げされ、各業界が値上げを行った結果、同年7月の消費者物価指数(CPI)が過去14年で最高の5.81%に達した状況が再現されると警告している。さらに当時はガソリン価格が下半期に30%以上値下がりしたためインフレが抑制されたが、今年は当面下落の気配がないためさらに深刻な情況となる恐れもあると指摘した。
一方、民生用電力料金は、使用電力量701kWh以上の世帯の夏季電気料金適用期間中(6〜9月)料金が26.1%値上げ、それ以外の期間で33.5%値上げが計画されている。昨年の一般家庭の月間平均使用量は350kWhで、1世帯当たり毎月105元の上昇となる計算だ。
また台電が提出したプランによると、民生用電力料金はこれまで通り使用電力量に応じた5段階の料金制度を維持するが、最低区分を使用量110kWh以下から120kWh以下に引き上げ、料金を据え置く方針のため、これが実施されれば110〜120kWh世帯は逆に値下げとなる。
経済部は11日、電力・天然ガス価格諮問委員会議を開き、値上げ案を決定した上で、13日にも値上げが最終決定される。値上げ時期は1カ月の予告期間を置き、馬英九総統が2期目の就任式を迎える5月20日以前となる見通しだ。
【表】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722