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電力値上げ決定、生産コスト0.5%上昇へ


ニュース 公益 作成日:2012年4月13日_記事番号:T00036523

電力値上げ決定、生産コスト0.5%上昇へ

 経済部は12日、5月15日午前0時より、電力料金を住宅用で平均16.9%、商業用で30%、工業用で35%引き上げると発表した。一般家庭では6割に当たる807万世帯、商業顧客では100万件以上、工業顧客は約21万件が影響を受ける。経済部は電力値上げにより、消費者物価指数(CPI)を0.46ポイント押し上げ、GDP(域内総生産)成長率を0.26ポイント押し下げると予測している。また製造業の生産コストは0.48%上昇、一般家庭は0.33%の支出増となるとの見方だ。13日付経済日報などが報じた。


施経済部長は、民間の「痛み」は十分分かっていると強調し、値上げへの理解を求めた(12日=中央社)

 経済部が発表した電力料金適正化プランによると、住宅用電力は使用量110キロワット時(kWh)以下の304世帯は据え置き、111〜120kWhの21万世帯は値下げ。330kWh以下の756万世帯は11%以下の値上げにとどめた一方、1,000kWhを上回る33万世帯は25%以上の値上げとした。

 小規模商業用電力は、使用量に基づく料金区分が改定され331〜700kWhを第2級にまとめ、1,500kWh以上の第4級を新設した。その上で使用量1,000kWh以下の約61万店舗は20%以下の値上げとし、2,000kWh以上の店舗は25%値上げとした。また低圧、高圧、超高圧電力を使用する大規模商業ユーザーの値上げ幅は29〜33%とした。

 工業用電力の平均値上げ幅は29.5〜37.3%。ただ、電力使用オフピーク時の値上げ幅は60%以上となった。

工業用電力単価、韓国上回る

 経済部は、発電コストが電力料金を上回っている現状の下では使用量の多いユーザーほどより多くの補助を受けられることになり、こうした不公平を是正するため、使用量が多ければ多いほど値上げ幅も大きくしたと説明した。

 これにより最大の値上げが求められる工業用電力の平均単価は1kWh当たり2.8988台湾元(約7.95円)となり、調整前は下回っていた韓国の同2.3701元を22.3%上回ることになった。同国と激しい競争を戦う、液晶パネルなどハイテク業、鉄鋼、石油・化学、紡織などの業界は生産コストの面での優位を失う。

 また、電力値上げによる製造業のコスト増加率は、ガソリンの値上げによる0.1%を上回る0.58%とより深刻なものと予測される。

 このため工業界からは不満の声が上がっているが、施顔祥経済部長は「エネルギーの低価格時代は既に終わった。産業界は政策による低エネルギー価格を前提とした競争を止め、生産構造を見直さなければならない」と反論した。

経済成長率は3.37%に低下も

 今月初めに実施されたガソリンの値上げと今回の電力値上げを合わせた台湾経済への影響について経済部は、その他の条件が不変との前提の下、今年のCPIが0.83ポイント押上げられて2.29%上昇、GDP成長率は0.48ポイント押し下げられて3.37%まで低下すると予測した。行政院主計総処は2月、今年のCPI上昇率を1.46%、GDP成長率は3.85%と予測していた。

 一方、家計への影響については、主計総処の統計によると、2010年の一般家庭の電気料金支出は1世帯当たり1カ月平均1,141元だったが、値上げ以降は192.8元増加する見通しで、台湾全土784万923世帯合計では年間181億元の支出増となる。これにガソリン値上げによる支出増を加えると、使用量が変わらない場合、一般家庭において1年間に増加する支出は480億元が見込まれる。

【表】