裕隆集団がハイブリッド車の商用化に向けた開発に当たっていることが、協力メーカーの東元電機(TECO)に「暴露」されてしまった。傘下の中華汽車工業は工業技術研究院とハイブリッド車の研究開発(R&D)に取り組んでいるが、具体的な開発計画が明らかになったのは今回が初めて。9日付自由時報によると、裕隆の幹部は東元側と秘密の計画書をまとめたことを認めた上で、「一体なぜ事前に漏らしたのか、理由が分からない」と困惑の表情を浮かべた。
二酸化炭素排出削減の取り組み発表した劉兆凱董事長(中央)ら東元の経営グループ。「情報漏えい」で裕隆のハイブリッド車計画により注目が集まってしまった(8日=東元提供)
裕隆の計画は、東元集団の劉兆凱董事長や黄茂雄会長らが二酸化炭素排出削減に向けたグループの取り組みについて発表した際に明らかになった。
劉董事長は、環境対策製品の一つとしてハイブリッド車の電気モーターと発電機の開発に当たっていることを明らかにし、自動車メーカーとの提携で3年以内に商品化を目指す考えを示した。劉董事長自身は提携対象のメーカー名を明かさなかったものの、同社の幹部が「裕隆集団傘下の華擎機械工業(チャイナ・エンジン)および華創車電と提携した」と漏らしてしまった。
これについて裕隆の幹部は計画漏えいに不満を示しつつ、「ハイブリッド車はガソリン高騰時代に適しており、グループとしては実現を願っている」と語り、計画の存在を認めた。
裕隆幹部によると、ハイブリッド車の最も鍵となる技術は、最高の燃費効率とパワー効率を実現するためのコントロールチップで、技術力の高い台湾IT(情報技術)メーカーとの提携で推進したい考えだ。また、開発には多額の資金が必要となるため、政府に支援を仰ぐ考えも明らかにした。
東元、エコ推進に10億元
東元が同日発表したエコロジー推進計画によると、グループはハイブリッド車のモーターなどの開発、および風力発電事業に10億台湾元(約34億6,000万円)を投資する。
風力発電事業は風力発電機やコンバータなど風力発電機部品を製造するもので、すでに米CTC社との提携でテキサス州に風力発電所を設けたり、中国で受注ベースの生産を開始している。より強力な発電設備・システムを開発する計画もあり、5年後には売上高100億元を期待している。
また、今後は環境重視の生産ライン実現などにより、年間で台北市の大安森林公園200カ所分の二酸化炭素吸収量と同等の排出削減を目標とする。