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ノートに打撃、世界2位PCB工場で火災


ニュース 電子 作成日:2012年4月20日_記事番号:T00036656

ノートに打撃、世界2位PCB工場で火災

 ノートパソコン用プリント基板(PCB)世界2位の金像電子(ゴールド・サーキット・エレクトロニクス)の常熟工場(中国江蘇省)で19日、火災が発生し、生産がストップした。再稼働のめどは立っておらず、ノートPC用PCB供給が15%減少するとの見方も浮上し、ノートPC各社は瀚宇博徳(ハンスターボード)などからの供給確保を急いでいる。年初以降のPCB材料価格上昇に追い打ちとなり、PCBは値上げの可能性も高まった。20日付経済日報などが報じた。

再稼働3~5カ月後か

 金像電子の常熟工場の火災は19日午前1時ごろ発生し、16時間後の午後5時20分にやっと消し止められた。死傷者はなかった。被害が出たのは常熟2工場のうち1工場。

 同社は、いつ再稼働できるか現時点では分からず、蘇州工場(江蘇省)、中レキ(レキは土へんに歴)工場(台湾桃園県)に応援を求めていると説明した。出火の原因、損害額は調査中だ。工場棟や設備、在庫などは保険をかけていたため、保険金を請求できると強調した。4月連結売上高への影響は15%と見込む。3月連結売上高は前月比11%増の14億500万台湾元(約39億円)だった。

 同業者は、電気めっきラインの火災がPCB製造に深刻な影響を与え、常熟工場の再稼働は3~5カ月後になると見積もっている。

タブレットにも影響

 金像電子は世界市場シェア20%で、同社の最重要拠点の常熟工場からの供給が、ノートPC用PCB世界市場の15%以上を担っている。

 直接の供給先はノートPC受託メーカー大手の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、英業達(インベンテック)、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、緯創資通(ウィストロン)などで、実際にはノートPCブランドのヒューレット・パッカード(HP)、デル、宏碁(エイサー)、華碩電脳(ASUS)などに影響が及ぶ。タイ大洪水のハードディスク駆動装置(HDD)不足ではフラッシュメモリーでの代替で乗り切ったタブレット型PCにも打撃が予想される。

 ウィストロン、インベンテックは、火災の影響予測を明らかにせず、注意深く動向を見守るとのみコメントした。

ハンスターボードなどに恩恵

 ノートPC用PCB世界市場シェア42%のハンスターボードは、顧客からの追加発注の電話が鳴りっぱなしだ。同社は需要に応えるため、ボトルネック除去によって既存ラインの生産能力を高めるほか、中国・江陰工場で即日設備を購入した。

 このほか、世界市場シェア10%の精成科技(グローバル・ブランズ・マニュファクチャー、gbm)だけでなく、ノートPC用PCBの生産規模が比較的小さい志超科技(タイワンPCBテックべスト、tpt)、定穎電子(ダイナミック・エレクトロニクス)、健鼎科技(トリポッド・テクノロジー)にも顧客からの追加発注が相次いでいる。ノートPC業界への打撃が大きいことがうかがえる。

 精成科技の朱有義総経理は、短期的には供給不足が発生し、ノートPC用PCB価格を押し上げる可能性があると語った。業界関係者によると、背景には、年初以降の銅の国際価格上昇で銅箔(はく)のオファー価格が2月、3月と上昇したこと、ガラスクロスも3カ月連続で値上がりし銅箔基板(CCL)3月価格が1割上昇したことなど、PCB材料価格の上昇もある。 

【表】