陳水扁総統が先週、「経済をうまくやったところで、(総統選挙)で当選するとは限らない」と発言したことから、11日までの4日間、行く先々で毎日民衆からブーイングを浴びせられてしまい、改めて不人気ぶりを見せつけている。
陳総統に抗議し、SPに取り押さえられる学生。成功大は「元首に対しふさわしくない行為があった」と総統に謝罪した(11日=中央社)
一連のブーイングの嵐は、8日に行われた台北音響影視大展の開幕式で、陳総統に対して中年男性が「もう生活していけない」と不満を訴えたのが始まり。自称チャーリーというこの男性は40代で、以前貿易会社を経営していたが、今はアルバイトや露天商をして食いつなぐ身で、この日は会場でサングラスを売っていた。これまでずっと陳政権を支持してきたが、民衆の生活苦に知らん顔の総統にとことん失望しており、思わず窮状を訴えたという。彼はこのブーイングがメディアに取り上げられて一躍有名になり、サングラスの売り上げが一挙に伸びた。
陳総統に対するブーイングはこれをきっかけに市民権を得たように広がり、総統が訪問した台北市の小学校や台南の成功大学の創立記念日の式典でも父兄や学生から多くのブーイングが巻き起こった。
一方、呂秀蓮副総統も8日高雄で市場視察に訪れた際に、「商売あがったりで、生活していけない」と訴えた豚肉売り場の阿珠という女性の人気が急上昇している。呂副総統相手にはっきり物を言った彼女の姿を「市場の女英雄」と賞賛する声も聞かれ、今ではすっかり同市場の主役になった。テレビ報道を見て遠くからわざわざ買いにくる客も現れ、市場全体の客入りに貢献しているという。