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馬総統2期目の就任演説、対中関係の主張に揺らぎか


ニュース 政治 作成日:2012年4月30日_記事番号:T00036792

馬総統2期目の就任演説、対中関係の主張に揺らぎか

 馬英九総統は5月20日に2期目の就任演説を行う。中国が中台の経済交流拡大や強大な経済力を背景に台湾への圧力を強める中、馬総統がこれまでの対中政策である「三不政策(統一せず、独立せず、武力行使せず)」を微妙に軌道修正するのではないかとの観測が出ている。

 30日付自由時報が消息筋の話として報じたところによると、中国政府は馬政権に直接、間接の圧力をかけ、三不政策のうち、「統一せず」の部分について見直しを求め、「台湾と中国は一つの中国に属する」との明確な表明を求めているとされる。このため、馬総統が就任演説で中国側の圧力にどう対処するかが注目されている。

 これに先立ち、国民党の呉伯雄名誉主席は、中国の胡錦濤国家主席と会談した際、「1国2地区」という概念に言及している。台湾の反対世論を警戒してか中国メディアはその後報じていないが、中国側は満足を表明しているとされる。今年の中国共産党第18回党大会で指導部交代を目前に控えた胡主席が、対台湾政策で何らかの成果を期待していることは間違いない。

 事実、中国国務院台湾事務弁公室の王毅主任は今月15日、訪米中に馬総統が就任演説で「前向きなメッセージ」を発することに期待感を表明するなど、中国側は馬総統が踏み込んだ言及を行うかどうか見守っている。

 沈黙を守ってきた馬総統は28日、中国の学生と対話した際、「1国2地区」は中華民国憲法に照らして合憲だとし、中台は互いの主権を認めないが、統治権は否定せず、中台間の「1992年の共通認識(92共識)」による「一中各表(一つの中国、それぞれの解釈)」を守るべきだとする考えを表明した。馬総統の発言は、「1国2地区」に議論の余地を開くようにも取れ、20日後に迫った就任演説の内容に関心が集まりそうだ。