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電力値上げ3段階で、6月からに変更


ニュース 公益 作成日:2012年5月2日_記事番号:T00036865

電力値上げ3段階で、6月からに変更

 馬英九総統は1日午後10時に記者会見を開き、経済部が先月発表した電力料金値上げプランについて、当初5月に1度で予定していた値上げを、6月から3段階に分けて実施すると表明した。また、値上げ免除対象を住宅用で2倍以上の756万世帯に、小規模商店で30万件に拡大、工業用電力オフピーク時間帯の値上げ幅も62%から50%に縮小する。産業界は修正案に概ね好意的な反応だが、消費者団体からは「企業に値上げの口実を3度与えることになる」と懸念が示された。2日付工商時報などが報じた。

 馬総統が表明した新たな電力料金値上げプランによると、当初5月15日に全体平均で29.5%の値上げを一度に行うとしていたが、6月10日、12月10日にそれぞれ当初予定の4割分を実施し、残り2割分を台湾電力(台電)の経営の改善状況を見た後に実施することに改めた。

 なお第1段階の値上げに6月から始まる夏季電気料金を加えると、現時点に比べ計29%の値上げとなる。ただ第2段階では夏季電気料金適用期間が終わっているため、現在に比べ24%の上昇にとどまる。

 また従来プランでは、「電力使用量120キロワット時(kWh)以下の住宅」としていた値上げ免除対象を、「330kWh以下の住宅および小規模商店」に拡大した。これにより住宅用の免除対象は従来の325万世帯から2倍以上に拡大する。

 なお産業界から最も反発の大きかった工業用電力オフピーク時間帯の値上げ幅が縮小されたことに対しては、「依然上げ幅は大きいが、少なくとも政府の誠意は感じる」(永豊餘造紙)、「若干余裕ができる」(京元電子)など、受け入れ可能との反応が上がっている。

台電の赤字解消、先送りに

 ただ、今回の値上げは発電コストの上昇により巨額赤字が続いている台湾電力(台電)の経営改善が目的だが、完全な料金適正化実現が先延ばしされたほか、免除対象を大幅に拡大したり、工業用電力の値上げ幅を縮小したことで同社の今年の損失額は従来プランを基に予測された152億台湾元から352億元(約970億円)以上へと膨れ上がる見通しだ。また2020年に見込まれていた累積赤字解消も先送りされることになる。

 馬総統は会見で、今回の見直しについて「地方で市民の反応に直面し、衝撃を抑える必要があると感じた」と説明。「みなさんの生活に大きなプレッシャーを与えたことを申し訳なく思う」と謝罪した。

 その上で、物価抑制に向け企業に対し、みだりな値上げ実施を控えるよう呼び掛け、法務部に対しては不当な値上げ事案の調査に全力を挙げるよう指示した。

【表】