ニュース 公益 作成日:2012年5月3日_記事番号:T00036893
馬英九総統が1日、電力料金値上げプランの見直しを表明したことを受け、台湾電力(台電)は新プランに基づく試算を公表した。これによると、工業用電力はオフピーク時価格が当初プランの62%値上げから50%に縮小され、産業界は年間87億台湾元(約240億円)の支出減となり、最大の恩恵を受ける見通しだ。ただ「電力使用量の大きい業界には依然厳しい」「失望した」など不満の声も上がっており、今後政府に意見書を提出する構えだ。3日付工商時報などが報じた。

一般家庭の値上げ対象は月間使用量330kWh以上となったが、クーラーを毎日5時間以上使用すると該当する計算だ(中央社)
「まだ韓国より高い」
2日、王金平・立法院長と面会した中華民国全国工業総会(工総)の許勝雄理事長は、「新プランでも値上げ後の電力費用は1キロワット時(kWh)当たり2.571元と、依然韓国よりも8.5%高く、紡織、化繊業界にとっては経営へのダメージは避け難い」と訴えた。
また、財経立法促進院(APEL)董事長を務める翁明顕・中環(CMCマグネティクス)董事長も「新プランでも値上げ幅は高すぎる」と強調。さらに6月の第1段階値上げについて、「メーカーの価格交渉に間に合わないため、10月に先送りすべき」と訴えた。
一方、セメント最大手、台湾水泥(台湾セメント、台泥)は、「コスト吸収に十分な時間が確保できたため、5月のセメント価格は値上げしない」と表明。鉄筋大手の東和鋼鉄企業(東鋼)も、予定していたH形鋼の値上げを取りやめたと明らかにした。
「朝令暮改」の批判も
台電の試算によると、商業用では電力使用量330kWh以下の小規模店舗が値上げ免除対象となったことで、全体の年間支出は15億元抑えられることになり、台湾経済研究院(台経院)も、値上げが3段階に分割されたことで今年の消費者物価指数(CPI)上昇率は、4月時点の予測値1.98%を下回ると評価した。
しかし、小売業者からは、「痛みを受ける期間が長引いただけだ」との声も聞かれる。台北市糕餅商業同業公会の張国栄理事長は、「政府がガソリン、電力値上げを発表して以降、包装材を含む多くの原材料で値上げが要求されている」と強調。また「4月以降、消費が停滞、後退しており、政策が二転三転することで市民が不安になっている」と批判し、「下半期の景気は、さらに悪化するのではないか」と懸念を示した。
市民からも「朝令暮改だ」との批判が上がっており、立法院経済委員会は2日、「馬英九総統は全国民に対し謝罪すべき」との決議を行った。新たな値上げプランに対する3日付蘋果日報のアンケート調査結果でも、55.32%が「効果なし、改悪」と回答。「支持する」は32.46%にとどまった。
なお台電の試算では、住宅用電力で値上げ免除対象が、月間使用量330kWh以下に拡大されたことで、今年の全体的な値上げ幅は当初見込みの16.9%から8.6%に縮小する。ただ、工業用、商業用、住宅用ともに値上げ幅が縮小したことで、台電の累積赤字は今年、昨年末から722億元増の1,901億元に達する見通しだ。
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